第5話

「待て。これは大事なことだろう。この技ができなくてはここで生きていけないぞ?」


しかし、その前にもっと口付けなどやることがあるのではないか。


初心な飛鳥にだってそれくらい分かる。


「いいから。俺がやるのをしっかり見ておけ。お前もやらなきゃいけないんだからな」


そう言うと、和音は飛鳥のものを手に握った。


「お前、可愛い顔して上等なもんもってるじゃないか」


「そんなこと言うな!」


「まぁいい。優しく扱くんだぞ?客が気持ち良くなるようにな。自分がどうされれば気持ち良いか考えてやるのもいいかもな」


和音は緩く飛鳥のものを扱いていく。


「あっ……」


思わず飛鳥の声が漏れた。


今まで味わったことのない、体が疼くような感覚。


これが感じるということなのだろうか。


次第に飛鳥の身体が熱くなってきて、体の中心が芯を持ったようになってくる。


「どうだ、気持ちいいだろう?」


そう尋ねられても、飛鳥は必死に耐えるしかなかった。


すると、和音の手の速度が速まっていく。


それに伴い、飛鳥の呼吸も荒くなってきた。


飛鳥のものを扱く手は、先端までも弄ったりする。


それでまた飛鳥は淫らな声を上げる。


「もう少しだな」


徐々に飛鳥の先端からは白濁の汁が出てきた。


自分で慰めたことはあっても、人に触れられたことなどなかったその場所。


飛鳥はあっという間に絶頂へと導かれてしまったのだ。


「俺の技、気持ち良かっただろ?お前も覚えたか?」


「……」


恥ずかしさのあまり、飛鳥は声も出ない。


「今度は、お前がやってみろ」


和音はこれまでも数多の男たちを相手してきたのだろう。


初対面の男とこんなことをするのは、大した意味はないのかもしれない。


「ほら」と、和音は着物の前をくつろげると、飛鳥の手を取り自分のものに触れさせた。


和音のそこは既に熱を持ち、硬くなりつつあるではないか。


飛鳥に触れて、欲情したというのか。


「俺がしたみたいにやってごらん?宗士から聞いたけど、経験ないんだってな。一人でする時みたいにやってみろ」


和音は飛鳥の手を誘導しながら、中心を扱き始める。


「そうだ、いいぞ。上手いな」


徐々に扱く速度が増し、和音の息も荒くなってきた。


そうして、和音は飛鳥の手の中で果てた。


「今日のやり方、覚えておくんだぞ」


「うん……」


飛鳥としては、凄いことをしてしまったような気がする。


しかしこれから毎日これをしなければならないのか。


憂鬱になる飛鳥だが、その後、口淫の指導まで受けることとなった。


飛鳥は和音の凄まじい手管に翻弄されるのだった。


ちなみに和音によると、今日の指導は“関係を持つ”ことには当たらないらしい。


先輩が新人に指導するのは、香煌楼の伝統だという。


それから何度か和音は時間を見つけて飛鳥に指導をしてくれた。


そして五日後には、飛鳥も客を取ることとなったのだ。

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