人ってそういうものだから
古 散太
人ってそういうものだから
悲しみに取り囲まれているとき
人の目は悲しみだけを見つめる
取り囲む悲しみの中でひとり
座り込んだりしゃがみこんだり
どっぷりと悲しみを吸い込んだら
やがて自分で立ちあがれるときになる
苦しみにのしかかられているとき
人の目は何も映さない
苦しさと思い込みの中でもがき
苛立ったり打ちひしがれたり
すこし無理して空を見上げたら
やがて視界が広がるときがくる
嫉妬にまとわりつかれているとき
人は自分を見ることができない
羨望と欲望のはざまで嘆き
恨んだり背伸びしつづけたり
冷静になって鏡を見たら
明らかに見極めた自分がそこにいる
心が音を立てて折れたとき
人は明日の光を見失ってしまう
挫折と骨折り損の中で沈み
あきらめたり投げやりになったり
ぐっすり眠って目が覚めたら
心はすこしだけ修復されている
幸せで幸せでしょうがないとき
人は世界のすべてがそうだと考える
興奮とお花畑の真ん中で
大声で歌ったり笑ったり
これがこの世の真実だと気づいたら
幸せは静かにあふれて世界に広がる
人ってそういうものだからね
人ってそういうものだから 古 散太 @santafull
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます