五日目 リモート怪談中 其の肆

「おい、緋黒! なに怖いタイトルにしてんだ!」


「どうせソフトなタイトルにしても無駄だよ。だから敢えてど真ん中に投げたんだよ。意外と死ななかったね」


 緋黒からしたら逆を突く作戦なのかも知れないが、余りにも利他の心がない。

 この状況下でも、現状をゲームとして楽しんでやがる。

 こいつの恐ろしい本質が見えた。

 かと言ってオカルトに関しての知識は、こいつに頼るしかないので無下にもできないし……。


「みんな。とりあえず今日は終わった。希梨々が戻って来なくても百物語はあと五日で終わる。辛いかも知れないが、必ず最後まで参加してくれよ」


「いや。五日じゃ終らないぞ」


「えっ?」


「百物語を最後までやるからには、まだ六十一話残っている。これを一人一日一話で進めると、参加者は現在六人だから、まだ十日以上必要になる」


 そうか。

 陽斗達が抜けた分、残った者で振り分けないと行けないんだ。

 完全に忘れていた。

 だとしたら、この地獄はまだ十日以上も続くのか……。


「そのこと何やけど、慎也。お前、この百物語ゲームを最終日だけ一人二話にするつもりやったんか?」


「はあ? どういう事だよ?」


「せやかて俺等、九人で始めたんやで。九十九話で終わるつもりでも、一人一話づつやったら十一日必要やろ」


「あ、ああぁっ!」


 弥太郎に指摘されるまで、本気で気付いてなかった。

 このゲーム、午前零時から始めたので、勘違いして前日まで入れて計算しちゃってる。

 こんな単純なミスをしてるなんて……幹事として恥ずかしい。


「やっぱりお前、計算違いしてたんやな。相変わらず算数弱いやっちゃ。けど、お前がアホなお陰で、この百物語に十日縛りが無い事がこれで分かったわ」


 弥太郎はそう言ってから自分の部屋に有る時計に目をやり、そしてニヤリと笑った。


「ええこと考えた。あんま時間無いけど試してみよう」


「何をする気だ、弥太郎?」


「まあ、見とけ」


 そう言って弥太郎は何やら動き出した……。

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