【AI怪談 三十二話目〈ズッ友〉 一葉】
その少女は「一生友達でいようね。指切りげんまん」と、突然見知らぬ私に言って来て、左手の小指をつき出した。
正直、私はどうしたら良いか悩んだ。
どう考えても会ったばかりの歳の離れた少女と、一生友達に成る約束を交わすなんて、到底できるはずもない。
私は「ズッ友はね、長い時間をかけて、お互いをよく知ってから成るものなのよ」と少女に言った。
少女は不服そうに、「じゃあ友達に成ってくれないの?」と、言って来たので、「友達には成れるわよ。でも、ズッ友は約束できないかな」と言った。
すると少女は泣き出した。
私はその姿を見て可哀想に成り、「分かった。分かった。じゃあ今日からズッ友。約束よ」と言った。
それを聞いた少女はピタッと泣き止み、再び小指を突き出してきた。
私は仕方なく指切りげんまんを交わした。
指切りげんまんが終わると、少女は笑顔で「じゃあ、今からお姉ちゃんと私はズッ友ね。お姉ちゃん。あそこに売ってるソフトクリームを私の為に買ってきて」
私は溜息を吐きながら「断ったら?」と聞いたら、少女は「友達を裏切ったら約束どおり指を切るよ」と言いながら、ポケットから大きな裁ちバサミを取り出した。
私は「じゃあ、買ってあげるから私の借金三千万のうち半分を肩代わりしてね」と言った。
これを聞いた少女は「分かった。その代わり私をイジメるクラスの子を事故に見せかけて殺して」と言ってきたので、私もすかさず「分かったわ。その代わり、私を騙したホスト野郎をこれからぶっ殺しに行く予定だから、あなたはアリバイ工作とか色々協力して」と言った。
少女は笑いながら「分かった。ズッ友だもんね」と返してくれた。
こうして交換殺人は成立し、私は知り合ったばかりの少女と掛け替えのないズッ友に成った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます