【AI怪談 三十一話目〈無事〉 里】
さっきすれ違ったお爺さんから聞いた話です。
戦時中、無事を祈る為のカエルの御守りという物が有ったそうです。
作り方は簡単です。
まず、柿の木を探します。
そして、柿の木の枝に刺さったモズの早贄を探します。
この時、見つけるのは必ずアマガエルの早贄である事です。
他の生き物では駄目です。
見つけたら枝から早贄を抜き、紫の木綿手ぬぐいに包んで持ち帰ります。
持ち帰ったカエルの早贄は、手ぬぐいに包んだまま三日三晩井戸の中に沈めます。
四日目に井戸から取り出し、グニャグニャにふやけた冷たい冷たいカエルの木乃伊を、手ぬぐいから取り出した後、無事でいて欲しい人の髪の毛でぐるぐる巻きにします。
そしてそれを再び紫の木綿手ぬぐいで包み、縫い合わせて御守り型にします。
後は無事でいて欲しい人に渡すだけです。
効果は有りません。
寧ろ無事ではいられません。
さっきすれ違ったお爺さんも、戦場に行ったら、いの一番に死んだと言ってました。
だから私も早速試したいと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます