【AI怪談 三十一話目〈無事〉 里】

さっきすれ違ったお爺さんから聞いた話です。


戦時中、無事を祈る為のカエルの御守りという物が有ったそうです。


作り方は簡単です。


まず、柿の木を探します。


そして、柿の木の枝に刺さったモズの早贄を探します。


この時、見つけるのは必ずアマガエルの早贄である事です。


他の生き物では駄目です。


見つけたら枝から早贄を抜き、紫の木綿手ぬぐいに包んで持ち帰ります。


持ち帰ったカエルの早贄は、手ぬぐいに包んだまま三日三晩井戸の中に沈めます。


四日目に井戸から取り出し、グニャグニャにふやけた冷たい冷たいカエルの木乃伊を、手ぬぐいから取り出した後、無事でいて欲しい人の髪の毛でぐるぐる巻きにします。


そしてそれを再び紫の木綿手ぬぐいで包み、縫い合わせて御守り型にします。


後は無事でいて欲しい人に渡すだけです。


効果は有りません。


寧ろ無事ではいられません。


さっきすれ違ったお爺さんも、戦場に行ったら、いの一番に死んだと言ってました。


だから私も早速試したいと思います。

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