【AI怪談 二十八話目〈花〉 慎也】

花畑を進むと、その先には虹がかかっていました。


川が流れています。


透明度の高い緩やかな流れの川。


向こう側に誰かいます。


一人二人では無い。


その数がどんどんと増して行きます。


手間抜きする人々。


全員が穢れのない白い服を着ています。


行くのが正解でしょうか。


戻っても苦しみしかありません。


行くのが正解でしょうか。


戻っても誰も居ません。


行くのが正解でしょうか。


戻っても幸せはありません。


富も名誉も家族も何もありません。


決心をする時が来たようです。


一歩踏み出した時、足元に小さな花が一輪咲いている事に気づきます。


後ろの花畑から、ここまで種が飛んできたのでしょうか。


足を止め、その花と同じ花を探す為、少しの間だけ、ほんの少しの間だけ後戻りします。


待ってて下さい。


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