四日目

【AI怪談 二十七話目〈虫〉 緋黒】

●●君は、毎年夏に成ると虫が湧きます。


皮膚を食い破り、沢山の虫達が●●君から出てくるのです。


冬の間、虫は●●君の体内で冬眠しています。


そして暖かい春に成ると活動しはじめ、●●君の内蔵を食い荒らします。


肺、心臓、胃、大腸、小腸、肝臓、腎臓、全てを食い荒らします。


そして、すっかり大きく成った虫達は、夏に●●君の悲鳴と共に皮膚を食い破って出てくるのです。


●●君は自分の身体を食い漁った虫達にこう言います。


「さあ、お前達。存分に遊んでおいで。冬になったら又戻ってくるんだよ」


湧いていた虫達は、秋頃に成ると一時だけ●●君から離れて行きます。


虫達はその間、別の人達に卵を産み付けるのです。


こうして●●君の苦しみは、他の人達にも受け継がれて行くのです。


だから●●君は死にません。


他の人が自分のように苦しむのが楽しいのです。


だから苦しくても●●君は虫達を自分の体内で飼うのです。


そんな●●君を僕は心から尊敬します。


いつか僕も立派な虫に成って、●●君の体内をガリガリ中から食い漁ってみたいです。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る