【AI怪談 二十四話目〈スパチャ〉 一葉】

今日も六十六ドル入った。


何時ものように無言だ。


この間も六十六ドル。


その前も六十六ドル。


私がライブ中継を行うと、その人は必ず無言で六十六ドルを入れてくれる。


決まってライブを開始してから六分後。


いや、正確には六分六秒後だ。


今、私は次回のライブ配信をするべきか、悩んでいる。


次の配信は六日の六時にする予定だったから。


このスパチャが無ければ、その数字に意識する事は無かったのだが、呼び掛けても一切反応しない相手に気味の悪さを感じる。


他の視聴者も気にしている。


ただの悪戯かも知れないが、あまり良い気分ではない。


かと言って、既に五回分のお金を貰っているので無下にもできない。


日時を変更する事も考えたが、何かそれも逃げてるようで嫌だった。


私は意を決した。


もしかしたら当日、その人は初めて話し掛けてくれるのかも知れない。


その日が近づく。


六。


その数字を特に意識してないが、今月の六日は、実は私にとって特別な日なの。


私が今の人気を手に入れる為、ライバルのアイツを殺めたのがちょうど一年前の六の日。


私が悪魔に心を売った日だ。

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