【AI怪談 十七話目〈廃墟〉 弥太郎】
もう百年間も誰も住んでないそうである。
そんな家屋を訪れるには、ちょっとした理由があった。
それは、そこで友人が待っているからだ。
かれこれ三十年以上有ってない友人だ。
本当に今日、待っているかは分からない。
なんせ三十年以上も前の約束だ。
でも、彼は「必ず待っているから」と、あの時言った。
会いに行かないと……。
車は途中までしか入れないほどの山奥。
一時間ほど歩くと、例の廃墟が見えて来た。
変わらず今にも朽ち果てそうにボロボロだ。
本当に百年前には誰か住んで居たのだろうか。
私はタバコに火を点け、廃墟の前で約束の友人を待った。
時が過ぎ、夕方に成っても友人は姿を見せなかった。
私は諦めて帰ろうとしたその時、廃墟の中から声がした。
友人はあの時と変わらぬ声で、「久しぶり」と笑いながら現れた。
三十年以上前の変わらぬ少年の姿のままで。
今度は私がここに残る番だ。
そういう約束だから。
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