【AI怪談 十八話目〈ゾンビ〉 陽斗】
そこに有った筈の死体が有りません。
刑事は戸惑うしか無かった。
確かに被害者は死んでいた。
自分でちゃんと確認したのに、なのに少し目を離した隙に死体は消えていた。
まさか死体がゾンビのように生き返って勝手に動いたと言うのか。
刑事は部署に連絡し、必死に成って被害者の死体を探した。
夜とは言え、まだ人通りもある繁華街。
被害者は間違いなく頭から大量の血を流して死んでいた。
なのに何故、血痕も残さずに消えたのか。
周りを取り囲んでいた警官も、誰もが消えた瞬間を見ていない。
やはり忽然と消えたのだ。
事件の対応に当たっていた警官は、全員必死で探した。
死体を失くすとは、ただの不祥事ではすまない問題だから。
やがて刑事の元に報が入る。
消えた死体が見つかった。
死体は何故か数キロ離れた場所で見つかった。
しかも車の屋根の上だ。
その車の屋根は潰れ、中に乗っていた運転手は圧死していたらしい。
その圧死した運転手は、後に消えた被害者をはね殺した加害者だと判明した。
確かに道の上に有った被害者の死体が、なぜ現場から消えて加害者の屋根に移ったのか。
刑事は報告書になんて書けば良いか、悩む他なかった。
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