三日目

【AI怪談 十九話目〈二人乗り〉 裕香】

自転車で何時ものように帰宅中、

私の前方にパトカーが停まり、降りてきたお巡りさんに呼び止められた。


私はヘルメットも被っているし、一時停止も無視してない。


何で止められたんだろうと、不思議に思った。


若いお巡りさんは、「君、今二人乗りしてたでしょう。危ないよ」

と、言ってきた。


私は「えっ?」と成った。


私は二人乗りなどしていない。


生まれてから一度も二人乗りなんかした事ない。


第一私の後ろの荷台には、部活道具の入った大きなカバンが積んである。


二人乗りなんか出来るわけない。


なのにお巡りさんは、「あれ? 後ろに乗っていた子は何処行ったの?」と、言ってくる。


私が「最初から私しか乗ってません。見間違いじゃないですか?」と言っても、お巡りさんは「そんなはず無い。二人で確認したんだから」と、パトカーの運転席に座ったもう一人のお巡りさんの方を指差した。


私は何度も否定したが結局信じて貰えず、とりあえず後日連絡するからと、住所や電話番号を聞かれた。


腑に落ちないまま、パトカーは去って行く。


去り際にパトカーの後部座席が見えたのだが、そこに私と同じようなセーラー服を着た、ボブカットの女性らしき人が乗っていた。


明らかに警察の人ではない。


いや、はっきり言って人にも見えなかった。


その女性、目や口が確認出来なかったのだ。


マネキンのようにも見えたし……あれは、いったい何だったのだろう。


あの日からもう何日も経つが、警察からの連絡はまだ来ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る