距離感がバグってる変なお姉さんと田舎で過ごすマッタリベッタリ夏のひと時
霜月ころな
第1話 お姉さんは自称ノスタルジックサマーの具現者!
※本作は台本形式で「あまね」のセリフのみで進行していきます。
※地の文風のト書きで、状況を補足しています。
夕方。遠くにセミの鳴き声が聞こえる。縁側にあまねが座っている。
あまね「やっほ~、待ってたよー。夕方になる前には到着すると思ってたから、この縁側で3時のおやつを食べながら待ってたんだけど、なかなか来ないから心配しちゃった。もしかしてバスに乗り遅れちゃった? 時間帯によっては一本逃すと一時間以上待つのもザラだからねー」
スマホの呼び出し音を聞きながら、
あまね「って……どこに電話しようとしてるの? け、警察……!? 待って待ってわたし不審者でも空き巣でもないってば! わたしのこと、おばあちゃんから聞いたことない……? えっと、ちょっと遠い親戚のあまねお姉さんだよ。キミが小さい時にも何度か会ってるよ? ほら、わたしの顔を見て。よーく思い出して?」
不意にキーンと耳鳴りのような音が聞こえてくる(数秒後におさまる)。
あまね「(安堵)よかった……(小さくパチと手を合わせ)思い出してくれたみたいで」
あまね「夏休みの数日間、キミが一緒に暮らしてくれるって聞いて楽しみにしてたんだ。今はおばあちゃんも駅近くのマンションで暮らししてるし、人が住まなくなった古い家って割とすぐにダメになっちゃうから嬉しくて。山ばっかりの田舎だけど、キミを飽きされないようにお姉さん頑張っちゃうから!」
あまね「ん……妙に気合が入ってるのはその格好から分かる? え、ダメなの? だって――やたら長い黒髪の色白美少女! 白いワンピース! そして、このひと昔もふた昔も前の麦わら帽子! 夏の幻影《ノスタルジックサマー》の三種の神器だよ!? ひまわり畑ではさらなるバフが……よーし今からひまわり畑行こ!」
あまねは靴脱石の上に立つ(ヒールのあるサンダルの音がする)。
あまね「(すぐ冷静になって)あ……ごめんねぇ、急に立ち上がっちゃって。ひまわり畑は、またの機会にしようか。お姉さん久しぶりに人と話したから、テンション上がっちゃったみたい。長旅で疲れてるよね。冷たい麦茶作ってあるよ。ささ、縁側から上がっちゃって。靴はあとで玄関に運んでおくから――」
靴を脱いで上がると、板張りの縁側がギィと少しきしむ。
あまね「いらっしゃい。ふふ、楽しい夏にしようね」
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