第二章 Azure2 ~ソラとフリオと勇者大戦~
1.フリオ VS 第三魔術師団
勇者たちに呼び出された僕たちは、古代闘技場にやってきた。
ここは。二年B組が召喚された場所だ。
ソラと僕と兄さんは、闘技場の舞台に上がって、勇者たちの到着を待った。
すると突然、視界の外から高威力の魔法攻撃が放たれた。
ドガアアアーーーーン!
爆炎が上がり、しばらくの間、煙で視界が悪くなった。
「あー、びっくりした」
僕たちはパンパンと身体をはたいて埃を落とした。
勇者たちとテラビジアの魔術師たちが建物の陰から現れた。
「鑑定!」
【名前】五木フリオ
【職業】黒い悪魔
【能力】G´
【称号】二年B組の下級クラス民、Gの長
【名前】ソラ
【職業】白い悪魔
【能力】G+
【称号】突然変異体、フリオの
【名前】
【職業】黒い悪魔
【能力】G´´
【称号】フリオの兄
鑑定結果を見た勇者たちはそれぞれ感想を述べた。
「Gってあれだよな、ゴキブリのG」
「つまり五木フリオは異世界に転移してゴキブリになったのか?」
「最底辺の人間は転移しても最底辺のままなのね」
「やだっ! 気持ち悪ーい!」
「危険です、さがって下さい」
テラビジアの女性魔術師が勇者たちの前に出た。
「黒い悪魔は王国魔術団の威信にかけて殲滅します!」
魔術師は杖をかざして再び攻撃魔法を放ったが、僕たちは無傷のままだった。
「その魔法はもう通用しないよ、耐性ができちゃったからね」
「なっ! 私の無属性魔法が…、初手で殲滅できなかったことが悔やまれる」
「いきなり攻撃してきて、自分たちは攻撃されないとか思ってないよな?」
幻洋兄さんがニタリと笑った
「やれ、G!」
兄さんの放ったGが魔術師の女性の太ももにピタリと張り付いた。
「あああっ!!」
魔術師は杖を放り出して逃げ出したが、途中で躓いて転んでしまった。
えぐっ、えぐっと魔術師は嗚咽を漏らした。
「泣くほど嫌か? G…」
テラビジアの魔術師たちは怒り心頭だ。
「アニーフェ! きさまら、黒い悪魔の分際でよくも
火、水、土、風、あらゆる属性の攻撃魔法が僕たちに向かって飛んできた。
攻撃を受ける度に僕たちは耐性を得て、やがてどの攻撃魔法も効かなくなった。
魔術師団長サリーフィールは瞠目した。
「お、恐るべし、黒い悪魔」
* * *
「五木、いいかげんにしろ!」
勇者の中から加瀬が進み出た。
「これはこれは、上級クラス民の加瀬耕一様、下級クラス民のこの僕にいったい何の御用ですか?」
「魔術師たちを虐めるのをやめろと言ってるんだ!」
「問答無用で攻撃してきたのはあちらですが?」
「攻撃されたからといって反撃していては、永久に戦いは終わらない!」
「それじゃあ土下座をしたら許してやるよ」
「下劣だな。話がまったく通じないとは。悪魔に身も心も
「話が通じないのはお互い様では?」
「躾けのなってない下級クラス民を躾けるのは上級クラス民の義務だ」
「そんな義務聞いたこともないな」
「常に責任や義務から逃げ回っている下級クラス民にはわからないさ」
「義務とか責任とかありもしないものを背負って、さぞ大変でしたでしょうね。それともそうしなければ、他人の上に立って気持ちよくなれなかったとか?」
「それで煽っているつもりかい。まったく下級クラス民は度し難い」
クラスメートたちの声援が飛んできた。
「加瀬くん、思いっきりやっちゃって! 黒い悪魔なんか蹴散らしちゃえ」
「ゴーゴー、加瀬くん! ファイトー、加瀬くん!」
「勇者加瀬耕一、かっけー!」
「さすが、二年B組のトップブリーダーね!」
「フリオ、俺たちはベンチで見てっからな。がんばれよ」
「あ、うん」
兄さんとソラは舞台を降りてベンチに下がった。
「ソラちゃん、膝枕してもらってもいい?」
「いやです」
「ちょっとくらいいいじゃーん。減るもんじゃなし」
「フリオ以外、生理的に受け付けません」
「えーーっ! 俺、
ブルっとソラが震えた。
「今、あたしの中に悪寒が走るという感覚が生まれました」
「兄さん! ソラに変なことしたら、たとえ兄さんでも許さないよ」
「ははは。冗談だって」
「ずいぶん余裕があるようだな、下級クラス民!」
僕らのやり取りを見た加瀬耕一のこめかみがピクピクしていた。
「勇者の力に覚醒した僕たちに勝てると思うなよ!」
【名前】加瀬耕一
【職業】勇者
【能力】光魔法(SSS)
【称号】二年B組の頂点に君臨する者
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