明日を繋ぐ犯罪

明日を繋ぐ犯罪

　……照りつける太陽、ビルの影、人々の声。いつも通りの風景。そのすべてが、嫌いだ。

　のうのうと生きている人が嫌いだ。「金欠〜」なんて言ってブランド物を身に着けているやつなんて意味がわからない。

　俺は、生きるのに必死なのに。

　生きるために奪った。食料も、金も、命でさえも。

　俺の気持ちがわからないやつなんて、死んでしまえばいいのに。

　俺の行為が犯罪であるということはわかっている。けど、そんなこと関係ない。どうでもいい。俺が生きるためならば。

　俺はただ、生きたいだけだ。それなのに現実は、のうのうと生きている奴らが善で、俺は悪。どこが悪い？　どこがいけない？　俺はお前たちが不平等に持っているものを、不平等に奪っているだけじゃないか。言っておくが、俺が奪うのは、俺が明日を生きるためだ。犯罪で明日を生きるのだ。どうしてそれがわからない？

　逮捕するべきは俺じゃない。裕福なのに犯罪を重ねる間抜け共だけで十分だろう。俺はその中には含まれない！

　パトカーの中、俺は暴れて抵抗したが、それが無意味なことはわかっていた。