095
夕方にようやく外壁の扉が壊されて、ナミルタニア国の兵士達が街へとなだれ込んだ。どうやら今日は寝れないらしい。
門付近では魔法が飛びかい、中に入ろうと密集している兵士達にかなりの被害が出る。
外壁の扉は魔法で燃やされるから金属製で丈夫だし、石材も砦の物より頑丈で割れにくいみたいだ。
投石機用の石もその辺に落ちているわけではないから、すでに撃ち尽くして今は敵を休憩させないために散発的に撃っているだけだ。
ミスリルの斧で地下水道の出入り口を塞いでる鉄格子を斬って中に入るとか?大きな音が鳴ってバレバレだからすぐ見つかるかな?というかそこに近づくまでに見つかるかも。
久しぶりの知識の湧く感覚があり、森の中への地下道やスラムの犯罪者が穴を掘っているなんて事を教えてくれたけど、あいにく外壁周辺は投石機の投げた石以外はゴミもなく綺麗なものだし、森まではかなりの距離があるのでこちらの方向には無さそうだ。
そうこうしているうちに近くの門の扉が開かれ、私達も街の中へ攻め入ることになった。
中には兵士達の死体が散らばり、火事によって焦げ臭い匂いが充満していた。たぶん考え無しに町中でも火球を使ってたんだろう。
大通りには木材が積まれて通れなくなっており、路地から回り込もうとした味方の悲鳴が何処からか聞こえてくる。
路地はアミット達が動けそうにないから障害物を排除しながら進むしかなさそうだね。
ここ数年がんばって鍛えた最大出力を限界まで使い、特大とまではいかないまでも大きな土球を作り出して障害物に撃ち込む。
馬防柵の端へ当たった土球によって、抑えていた兵士ごと動かし、出来た隙間に向かって兵士達が飛び込んでいく。
もう一発撃つのを待って欲しかったな。まだ狭いと思うよその幅は。
馬で通れる程度の隙間はあるけど、戦うにはまだ少し狭い。私の部隊の人間じゃないから命令も出来ないんだけど、もう少しやり方を考える必要がありそうだ。
通れるようになった大通りを進み、また障害物があるところで味方の兵士達が道を開けて待っていた。
今度は護衛一人と同じ目標を狙って同時に撃ち込み、先程より少し広く道を作ることができたので次からは交代で一緒に撃ってもらおう。
そうして進んでいくと石畳を剥がして杭を打ち込んだのか、動かせない障害物に出会ったけど。動くと思って先走った兵士達が結局力ずくで破壊した。
壊した障害物の数が10に届こうかと言う時にようやく内壁の扉の前にたどり着き、
貴族達が逃げ込んでいたのだろうか、破城槌を持った兵士達に魔法が降り注ぎ、兵士達が二の足を踏む。
残りの魔力量が
大きな音は鳴るけど、たった一度打ち付けるだけで頭上から魔法が複数飛んできて頭上に配置した水球にぶつかり、爆風や土球が防ぎきれずに怪我をする。
それでも5度目の突進で
「敵は魔法を撃ち尽くしたようだ!一番乗りの報奨が欲しい者が槌を手に取り打ち付けるが良い!私達はすでに十分手柄を手に入れたから、あとはお前達に譲ってやろう!」
敵の魔法は減ったものの、5度目以降の打ち付けではほとんど変化は無くまだまだ時間がかかりそうだったし、いい加減魔力が限界だったので撤退を決めた。
外からは大声と槌を打ち付ける音が聞こえ、先ほどとは違い早く交代しろとやじが飛び交い始めた。
「あれ、後どのくらいかかると思う?」
「途中からまったく動かなくなりましたからね、裏に何か置かれたんじゃないですか?」
「馬車みたいな木材よりも重い感じがしましたね、音はしませんでしたけど石材とかでしょうか?」
「何にしてももう魔力が限界ですよ、城の中に入って暴れるなんて考えないでくださいね。」
扉に打ち付けた時の音が鉄を殴った時のような響く音から突然、石を殴ったような重い音に変わり、効果なしと見切りをつけたのも撤退を決めた理由の1つなんだよね。
護衛達は本気で心配そうにしているけど城の中にいるのは、子爵とか伯爵とか呼ばれるクラスの魔力量を持つ貴族達だ。
門での戦闘には現れなかったけど、中に入れば必ず戦うことになるのに魔力がない状態で入って行くような命知らずではない。私はいつだって撤退の判断は早い方だったよ。
「そこまで馬鹿じゃないよ、今すぐに門の扉が開いたって入って行かないって。
それより交代で睡眠を取るよ、幸いなことに久しぶりにベッドで寝れるからね今日はぐっすり眠れるんじゃないかな。」
「待望のベッドでの休息だと言うのに、小鳥がうるさすぎて安眠できそうにありませんね。」
「もっと遠くの宿じゃ駄目なんですか?いくらなんでもここは近すぎるでしょう。」
「残念だけどみんな考えることは同じだよ、外壁の近くは傭兵が抑えてるのを見かけたし、あの辺は火事もあったから空気が悪そうだしね。
入口とアミット達を見張っておいて、オーキンドラフ様かベガルーニ様達を見かけたら中に入れていいよ、それじゃ後はよろしく。」
配置や順番は護衛達に任せて私はさっさと2階へ登って眠りにつく、街の中心街だから布団には綿が入っていてとても寝心地は良さそうなんだけど、残念ながら鎧を脱ぐことはできないのでキレイにしてからそのまま寝転がった。
うるさすぎて寝ることなんてできそうにないけど、目を
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