第5章 再戦~
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オレンの乳離が済み。侍女達に任せられる時間が増えたことでようやく私の訓練が本格的に再開した。
魔力は子育てをしながら鍛えていたから増えているけど、体力ばかりはどうしようもなかったから再開したばかりの頃は鎧を着るまでもなく重り1つで早々にバテてしまった。
まだ魔力切れにもなっていないのに先に体力が尽きるとは思わなかった。たまの素振りだけじゃ体力の維持は無理だよね。
子供達の相手もあるので元に戻すのにどのくらいかかるか分からないけど、早く打ち合いに参加したいな。
1年経つと、完全に元通りでは無いもののアミットにも勝てるようになり、負け続きとはいえリフテットとも勝負になるようになった。
見習い達も成人して立派に戦えるようになったのだけど、スクマリーナはヤースマンと結婚してしまったために従士は引退してしまった。
ニーミットはまだ相手も決まっていないけど、従士が足りないのは変わっていないのでしばらく引退は出来そうにない。20歳までには相手くらい探してあげたいけど、信用できそうな女性で武器も扱える魔力持ちって中々いないんだよね。
結局自分の領地内から未成年を拾い上げて育てるのが早いから未成年は何人かいるんだけど、成人しているのは今はリフテットとニーミットだけになっている。兵士がいるから問題は無いんだけどね。
さらに月日は流れ戦争から7年が経ち、社交シーズンの始めに国境沿いの砦に常駐する兵士を増やす方針が国から貴族達に伝えられ。
天候に問題が無いのに国内外の麦の値段が上がり始めたりと、休戦協定の10年を待たずに戦争が再開しそうな雰囲気が徐々に高まってきた。
私は準男爵なので本来なら500人の兵士を戦争時に連れて参戦しなければいけないのだけど、領地は騎士爵位の物なので免除をされて100人で良いことになっている。
もっとも、絹の儲けを使い300人の兵士を抱えているため200人は連れて戦争に参加するつもりだ。
ギリギリの人数の方が安上がりとはいえ、自分を守る兵士は多い方が安全だからね。
いつか男爵に昇爵したら千人の兵士が必要になるため、早めに人数差を埋めたかったのもあるけど、思ったより絹布の儲けが大きかったのもある。
本来は2年のサイクルで卵から生まれて蛹になり蝶になって産卵して死亡する。というのが判明し、2年ほど飼ったあとに蝶になるのを許可して産卵させ、卵から生まれた芋虫を使い魔にする事で、契約する兵士を簡単に増やすことができた。
ちなみにカネはまだ生きている。蝶になることの許可は出したんだけど、まだ大丈夫だと言って芋虫のままで小屋の主をしている。魔力を持っていると寿命が長くなるのは人間も魔物も変わらないようだ。
相手がいれば魔力持ちの芋虫が増やせそうだけど、今まで生まれた中にはいなかったのは残念だね。
8年目、ついに戦争への
エランコード国が攻めて来た訳ではなく、準備ができたのでこちらから攻めるという事らしい。もっともあちらも準備を進めていることは分かっているので、先に攻めたからといって有利にはならないだろう。
今回攻めることを決めた一番の理由は、同じくエランコード国と隣接する隣国ゼーレンガルクとの同盟が結ばれ、共に攻める事が決まったからだ。
ゼーレンガルクも色々とちょっかいを受けているらしく、我慢の限界だったのだろう。
エランコード国としては海が欲しいという理由があるらしいけど、ちょっかいを掛けられる方は
今回の戦争で戦力と領地を
リフテットに子供と見習い達を任せ、ユミル領とオーキンドラフ領合わせて兵士800名を連れて懐かしのコンキエート砦へやって来た。
砦までの道筋や周囲には村が増え、夕食を作る煙が遠くにいくつも見えていた。
翌日にはさらに先のメンケント砦へと向かったのだけど、途中に見える村の門を守る兵士は
この辺りは開拓中ということもあるけど、戦場跡地なので毎晩ゴーストやスケルトンに襲われ、よく眠れないのもありそうだ。
今回の戦争では魔力持ちも貴族も大勢死んでいるので、上位種であるグール、デュラハン、ワイトなんかもよく出るだろう。
同期のよしみということで多少の支援はしたことがあるものの。村ごとに金貨10枚程度ではやはり足りなかっただろうか。
砦で一度到着を伝え、兵士の配置場所を聞いた。今回はオーキンドラフ様と一緒に左翼に配置されることになったけど、今回は森で邪魔されることもなく広い平原で陣を敷いているため前回とは違い左翼の前に味方はいない。
戦いが始まれば包み込もうとしてくる敵を押し留めるためにすぐに前線になってしまうだろう。
これから攻める場所は、以前砦だった場所の周辺に町ができた外壁の無い町らしい。
当然、敵が砦に
戦争は覚悟していたものの、いきなり攻める側に回るとは思ってなかったね。一当てして追い返してからだと思ってたんだけど前回勝っているから強気になったのだろうか。
どちらにしても二度と攻める気が無くなるくらいには弱らせたいところだ。
この戦いのために無理をして集め、鍛えた兵士達だ。どうか無事に生き残り勝利出来ることを祈らずにはいられない。キレイの神の管轄内だといいんだけど。
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