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ミーリルラーフが1歳になる少し前、長男のエーギルドラフが生まれた。
かなり間隔が早いけど今後のことを考えると早めに…と、話し合いで決まり無茶をすることになった。戦争が始まった時に妊娠しているわけにはいかないからね。
ミーリルが言葉を喋るようになり、なんとか魔力の事を教えようと四苦八苦しているけど回りからは早すぎるんじゃないか?と言われている。
魔力操作は早いうちに始めるほど効果があるから、こればかりは
ミーリルは父親譲りの最大出力と魔力量を持っているはずなんだ。私の血の分がどう作用するか分からないけど、私の魔力圧縮法を覚えてくれれば私以上の戦士に育つと思う。
子供に期待し過ぎの親馬鹿かも知れないけど将来が楽しみで仕方がない。
そういえば1歳の時に魔力の検査に使ったあの光る水晶。あれの正体を今更に知ったよ。
閃光玉と呼ばれる魔導具で、遺跡で結構な数が見つかる有名な魔導具なんだそうだ。触れると強制的に魔力が吸い出されて、まばゆい光が一瞬だけ周囲を照らすという魔導具なんだけど。何年もかかる体外に魔力を出す感覚を掴む訓練が一瞬で終わるのでこれ系の魔導具は
もっとも材質が壊れやすくてそれなりの値段がするため、戦闘のために持ち運ぶのは危険で、本来の使い方をすることは少ないとか。
私があの時閃光を放てなかったのは、発動させられるほどの魔力がまだ無かったからのようだ。鍛えていたつもりだったけど実はかなり魔力が少なかったのかも知れない。
魔法を使うのが苦手な人は何度も使うらしいけど、私は1回で出来るようになったから、あれを見たのは1歳の時の他には何度か他の子供が使うのを見ただけだ。
ミーリルも閃光玉を使ってまばゆい光を放った後に、身体強化を教えたら使えるようになったので魔法の才能があると思う。後はいつ剣を教えるかだけど、まずは一緒に走り回るところからかな?
「ままーあみにのるー」
最近のミーリルの流行りはアミットに乗ることだ、庭をぐるりと回るだけだけど乗っても目線が低いのがいいのか馬よりもアミットに乗りたがる。
「はいはい、着替えるからちょっと待っててね。」
スカートでも別に乗れるのだけど侍女がうるさいから乗馬服に着替えないといけないんだよね。教育のためにちゃんと従うけど乗馬服のほうが動きやすいし最初から着てちゃ駄目だろうか?
「あみごー!」
「アミット、また家を一周お願いね。」
何か問題が起こると悪いのでアミットにはミーリルの命令は聞かないように言いつけてある。手綱を掴んでいられないのに走らせたら危ないし。
私と一緒に乗っている時も走らせることもなく横を歩く侍女と一緒にゆっくりと歩いて回る。
もっともそんなに長い時間乗れることは少ないので1日1周だけの約束だ。エーギルがすぐに泣き出してしまうからね。
エーギルが侍女の手では泣き止まず途中で戻る事になっても、文句も言わずに一緒にエーギルの元へ行ってくれるから姉弟仲は悪くないと思う。
まだ一緒には遊べないけど、そのうちコーリアの様にお姉さん風を吹かすのだろうか。
ミーリルが2歳になった数ヶ月後に、次女オレンラーフが生まれた。
姉も2人女の子を産んだらしいし、ミーニャが男の子を産んだと父から聞いた。
長男を産んだことで安心はしていたんだけど、やはり女が多い血筋なのかも知れない。
ホリーもゾーラも相手が決まったらしいから一度顔を見に行きたいけど、まだしばらくは無理だろう。
子供が出来てからは社交シーズンに王都へ向かう父と祖父にしか会えていないので、久しぶりに会いたいとは思ってるんだけどね。
1歳になって閃光玉を光らせたエーギルも身体強化を覚えて、元気な暴れっぷりを見せている。
ミーリルと違って高い所へ登ろうと頑張るので目が離せない。
疲れたり魔力切れで寝るのは同じなんだけど、エーギルは立ったまま寝て倒れるから危ないんだよね。
散歩もアミットに乗るより馬に乗りたがるので高い所が好きなようだ。
ミーリルが5歳になったら本格的に訓練を始めるつもりだ。徐々に近付いてきた戦争の気配に国もピリピリし始めているらしい。
私はここ数年王都には行っていないので分からないのだけど、オーキンドラフ様は兵士を増やし鍛える様にと
前回は兵数にかなりの差があったので今回は戦力差を無くそうと国も必死な様だ。
有利な条件で休戦出来たとはいえ減った兵数は痛み分けが精々、斥候などの諜報関係は大敗していたらしく育成が急がれているとか。
私もそろそろ体を鍛え直さないと鎧を着て走り回るなんてまだ出来るだろうか?せっかく作ったミスリルの斧も最近は使っていないし、まずは整備からかな?
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