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村の外壁が完成し、後は見張り台などを作っていくという報告の手紙が来て。絹布も職人が満足できる品質を出せるようになったと書かれていた。
テースドラフ近辺の植林場も順調で、すでに人の背丈ほどになっていると聞いたし、この数ヶ月で始めた事が良い結果を出してきているようだ。
そんな中、私は体調を崩し吐き気と戦っていた。初めてと言っていい程の不調に身体強化の出力を上げ、着替えようとしたら顔色に気がついた侍女に止められてベッドに戻された。
「お医者様を呼んで参りますので見てもらうまで身体強化はしないで下さい。食事も簡単な物を部屋にお持ちいたしますので少々お待ち下さい。どうしても我慢ができなければこちらのツボにお願いしますね。」
そう言って部屋を出て行った侍女を見送り、なぜ身体強化をしてはいけないのか考える。強化をした方が間違いなく病気は早く治るはずなのでおかしいな?と、思ったのだけど、回らない頭でしばらく考えてようやく原因に思い至った。
オーキンドラフ様が様子を見に来たのか挨拶に来て、仕事に戻ってからしばらくするとようやく医者がやって来た。
「まあ十中八九妊娠でしょう、もう少ししたら体内に別の魔力が感じられるはずです。安定期に入るまで身体強化はしないで下さい、下手をすると異物として
安定期に入れば動くのも身体強化もしていいですが、何事もやり過ぎれば流産の可能性がありますからほどほどにお願いします。」
「ありがとうございます!気を付けさせて頂きます。」
私よりも先に侍女が
毎晩のように侍女に見守られながらやる事はやっていたのだけど、ついに私も母親かと実の母を思い浮かべる。ああいう風になるのは無理じゃないか?とは思いつつ、吐き気が軽くなり
しばらく寝ていると仕事に行ったはずのオーキンドラフ様が戻ってきて、嬉しそうに何度もお礼を言って仕事に戻っていった。
今日は確か植林場の拡張計画のために現地に行くと言っていたのだけど、わざわざ戻ってきたのだろうか。
不調が何日も続いたものの侍女達によって
この数ヶ月、部屋から出ることすらろくにさせてもらえず、
アミットに乗って近場の散策をしようとしたら、魔物は危ないから乗るなら馬か馬車にしろと言われ。侍女達の過保護は全く治まっていなかった。アミットの方が揺れも少ないし乗りやすいのに。
腹が張ってくればさすがの私も動きにくいので大人しくなり、裁縫の練習に赤ん坊の服を作れと言われて、侍女達が切った布を
暇つぶしに宝石や金属の加工をして過ごしていたけど、今年は妊娠しているので社交会には出なくていいと言われた。
なら毎年妊娠するのもいいな、などと下らない事を考えたものの。治療魔法の使える魔力持ちがいても妊婦の死亡率は高いのでそんな事のために死ぬ気は無い。
社交シーズンが終わり、同時期にあったオークションでミスリルに金貨1500枚の値がついたと聞き卒倒しそうになって家中を騒がせた後。無事に女の子を出産して、私は睡眠不足というものを味わっていた。
子供が生まれて全力で身体強化が出来るようになっても、どうにもならない眠気に赤ん坊の担当になった侍女と共に戦っている。
こういう時に乳母がいれば苦労が半分になるのだけど、魔力持ちの肉に魔力が含まれるように母乳にも母親の魔力が含まれていて、魔力を食べれば魔力量が増えると信じられているために同等の魔力を持つ乳母を見つける必要があってなかなか難しいらしい。
妊娠したら王都に集まって協力して育てる貴族もいるらしいのだけど、当然害を成す対象にもなりやすいため、仲の良い貴族で集まるのがせいぜいだとか。
一応、産後の
「ミーリルは本当によく泣きますね。もう少しまとめて教えてくれると楽なんですが…」
「それはそれで大変だと思いますけどね。これでもユミル様のおかげで洗濯が無い分かなり楽なんですよ。」
オーキンドラフ様によってミーリルラーフと名付けられた長女は本当に良く泣く。一度に飲む量が少ないのか間隔が短く、おしめを汚して泣く回数も多い。
最初は乳をあげる時だけ起きればよいと侍女に言われたのだけど、鳴き声が聞こえてしまうと気になるので、結局おしめをキレイにしたり寝かしつけたりと自分でしてしまうのだ。
侍女達は魔力を持っているので水による洗浄ではなく、キレイになる魔法を教えたのでおしめの交換は楽なんだけどね。洗浄だと乾かす必要があるので、交換する時に追撃されたりして布団や服まで交換しないといけなくなったりと、とても大変らしい。
魔力操作を覚えないかと思って魔力を込めた指で体をなぞっているけど、今の所くすぐっている様にしか思っていないようだ。教えるならやっぱり言葉をしゃべれるようになってからかな?
そういえばオーキンドラフ様に貴族の子供の教育の仕方をきちんと聞いておかないと。それともお義母様に手紙を出したほうがいいのだろうか?
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