003
魔力を体の外に出し、切り離すと風や闇に変換できる様になった。
火は家が燃えるかもしれないし、水は濡れる、土は残るかもしれないし、光ったらバレる。ということでこの2つしか試せていないが研究は順調だ。
まだ空にしか撃ち出していないので威力は分からない。切り離し、変換し、撃つという簡単な操作だけだけしか出来ないが大人が殴る程度の威力はあるといいな。
バレないように練習しているため、あまり数は
母や姉がいて変換が出来ない時に練習しているのは身体強化だ。外に出した魔力で身体を覆い、頑丈さや力を上げたり目や耳を強化したりしている。
身体強化をすれば掴まり立ちで歩く事もできるようになったし転んだ痛みもすぐに治せるようになった。
色々と隠し事が多いのは仕方が無いと思っているが最近、いくつかの魔法が使える事はバラしてもいいんじゃないかと思い始めた。というかバラしたい。
オムツは未だに履いたままだがトイレトレーニングが始まりオマルも使う様になった。だが、した後に使うのはボロボロの布切れや藁束、乾燥した葉っぱで外で散歩中にしたならその辺の雑草を引っこ抜いて拭う事になる。
家の中も土足生活なため床は砂だらけ、たまにホウキで掃いても土汚れは残るのでとてもではないがキレイとは言えない環境だ。
今まではどうしようもないので気にしない様にしていたが解決できる魔法が手に入ってしまえば我慢はできない。
身体から離した魔力を薄く引き伸ばし、汚れた物を包んだ状態でキレイになれと唱えるだけで糞尿も土汚れも解決するのだ。
もちろんいきなり広範囲の魔法など使わない。トイレの後、遊んでいる時、口元が汚れたら、徐々に使う回数を増やしこの魔法だけ使える様になったと思わせるのだ。
穴だらけの完璧な作戦を思い付いた私は早速、目の前で漏らした姉をキレイにした。
汚れた口を拭われた後や尻を拭われた後によく言われるおそらく「キレイ」という言葉と共に放たれた魔法は服や下着、床に広がった水たまりごとキレイにし、濡れた服が気持ち悪くなって泣き出そうとした姉の顔をきょとんとさせることに成功した。
それを見ていた母と祖母が大騒ぎを始め、姉の服を捲くったり、私の顔を触ったりしながら何かを言っているが早口すぎて分からないし興奮しすぎてちょっと怖い。
私だってこんな
だが、いざ使うことを決めて私の足元まで水溜りが広がってくるのを見たら我慢ができなかったんだ。
母が私の肩を叩きながら床を指差しキレイと言い出した。
どう見ても汚れているし意味が分からず首を傾げたが何やら期待した顔をしている、もしかして使って欲しいのかと思い母の発音を真似てさっきよりも小さい範囲をキレイにしてみた。
手を叩いて喜ぶ母、同じ様にキレイと言い出す祖母。同じ様に魔法でキレイにしたら同じ様に手を叩いて喜んでくれるのはいいが姉と私は完全にテンションを置いて行かれてしまった。2人が落ち着くまで姉と一緒に呆然と見ているしか無かった。
落ち着いた2人が慌てて夕食の用意をし、私達姉妹に食事をさせ終わった頃。帰って来た父と祖父は再び大興奮し、私にキレイの魔法をさせたがった。
母達とは違い何度も何度もやらせて来るので、面倒臭くなって父の顔をキレイにしてやったらとてもへこんでいた。いい気味だと思う。
父の髪を見た母と祖母の眼がとても怖かった気がするが、子供はもう寝る時間なので目をこすりながら母の顔を見ないように注意して抱きつく。
今すぐ母達に使いたいとは思うのだが魔力を使いすぎたのか本当に眠い。ベッドに乗せられた私は布団を掛けられる間もなく眠りに落ちたのだった。
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