第3話_触手回

 ざばぁと地上へあがる音。

 消える水中の気配。

 洞窟らしい音の反響。


 ※地上に出ている間は基本的に洞窟らしい音の反響が少しある。


 そろって地上に上がる音。

 地面を踏む音や、体から水滴が水面に落ちる音。

 声は前から。


「水中を通らないとここまで来られないから安全なのじゃ」


 完全に地上にでると、スキュラ娘の声が前方の斜め下からになる。

 身長表現。


「……なんじゃ、じろじろ見て」


 声は前方の斜め下から。


「小さくてがっかりしたかの。えっ、むしろ大きい? おっぱいが? ど、どこを見ておるのじゃ!」


 胸への視線に照れる。

 声は前方の斜め下から。


「可愛いといってくれるのは嬉しいのじゃ」


 声が近づいてきて正面から抱きつく。

 肌の触れ合う音。


「でもそれだけじゃ足りないのじゃ」


 声が胸元から。顎の下あたりから。 


「わっちのことを抱き締めて欲しいのじゃ。触手なら沢山あるじゃろ?」


 ピタンピタンと弱弱しく触手が地面を叩く音。

 上手く持ち上がらない描写。


 声が胸元から。


「たどたどしいのう。わっちが誘導してやるのじゃ」


 足元から乾かないように粘液に包まれた触手同士が絡まるくちゅくちゅとした音。


「そう……この触手でわっちの腰の辺りを抱き寄せて」


 粘性の物が密着して動くグチュグチュとした音。

 その音が目の前の少女の足元から腰辺りに上がっていく。


 声は胸元から。


「……なんじゃ、敏感じゃの。触手を触るだけでそんなに呼吸を荒くして……」


 目の前の少女の腰辺りから、肌に吸いつく粘性の音。

 声は胸元から。


「神経がまだ生まれたてだからかのう?」


 自身の背後にも触手が回って抱きつかれる演出で、粘性の音が足元から脇を伝って背後へも。 


 声は胸元から。


「わっちの触手と絡めてやるのじゃ。おおう、びくんびくんと可愛らしいのじゃ」


 胸元から聞こえる少女の声。

 目の前に感じる少女の腰辺りからは、ずっと粘性の音と肌が触れ合う音がする。


「大丈夫じゃよ。地上では自然と粘液が表皮に沸くからヌルヌルになって刺激が緩和されるのじゃ」


 粘性の音と肌に触れ合う音が少女の下半身と、自身の脇や背から。

 少女の声は胸元から。


「すぐ慣れるのじゃ。安心して、今はわっちと触手を絡めあうのじゃ……」


 二本の触手が螺旋のように絡まりあうような粘性の音。

 見せ付けるように、それが少女の顔の横辺りから聞こえる。


 嬉しそうでいて、かつ、少し興奮してきた様子の少女の声が胸元から。


「気持ちよさそうじゃの。慣れてきたかの」


 少女の声は胸元から。

 胸元に左頬をくっつけられている音。

 これで聞いている感覚だと、声が少し左よりになる。


「一本一本じっくり絡めるのじゃ。わっちもなんだか背筋がゾクゾクしてきたのじゃ」


 二本の触手が螺旋状に絡まる音が周囲からして、音に包まれている感覚から根っこのひとつが自分だと感じさせる。


 ★控え目なBGMぐらいに小さく、ここから暫くランダムな粘性の音。


 声は胸元で、少し左よりから。

 リラックスしているような、少し夢見心地な声。


「根っこから先端まで、ゆっくりと味わって欲しいのじゃ」


 胸元から顔が離れ、見上げてくる声の位置関係。 


「ん。今更なのじゃ」


 胸元に今度は右頬をくっつけてきて、聞いている側は胸元の少し右側から声がしている状態に。


「最初からお互いに服なんて着てないじゃろ」


 肌と肌の密着する音。

 声は胸元から。


「あ、最初は着ておったの。わっちがおぬしの服を脱がしたんじゃった。鎧と一緒にの」


 声は胸元から。


「おぬしの心臓がバクバク鳴いておるの」


 胸元から顔を外し、見上げてくる声の位置。


「わっちの心臓もそうじゃ」


 聞いている人の右手あたりの位置に、肌と肌が触れ合う音。

 声は密着はしてない胸元。


「手を貸すのじゃ」


 声は密着はしてない胸元。


「ほら、ここ」


 少女の胸元辺りに肌と肌が触れ合う音。

 声は密着はしてない胸元。


「ドキドキしてるじゃろ?」


 柔らかいものに触れている音。

 声は密着はしてない胸元。 


「柔らかい? いい感触じゃろ。おぬしはわっちのものだけれど、わっちももうおぬしのものじゃ」


 手は離れ、また胸元に左頬。 


「触りたくなったら遠慮なく求めて良いんじゃよ」


 足元で少し大きめの粘性の音。

 声は胸元から。 


「……はい、最後の一本。全部の触手を絡め終わったのじゃ」


 声は胸元から。


「触手の情報を脳が受け入れたら、もっと自由に動かせるようになるはずなのじゃ」


 ★控え目なBGMぐらいに小さく、ランダムな粘性の音が、リズミカルに一定に重なる。

 ★触手が触手をしごく音が、粘性の音をさせながら肌と肌がぶつかるような音になる。

 ★このBGMが暫く続く。


「はぁ……はぁ……どうしたのじゃ。呼吸を荒げて」

 

 少女も少し呼吸が荒くなっている。

 声は胸元から。


「あまりに敏感でキモチ良すぎるみたいじゃの」


 声は胸元から。


「早く慣れるよう、じっくり絡めてマッサージしてやるのじゃ」


 ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅと少し大きめの粘性の音。

 声は胸元から。


「根っこから先端へ。たっぷりとマッサージしてやるのじゃ」


 ぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっと、リズミカルながら少しペースを落とし、でも粘性は強くなった音。


「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」


 胸元の少女の呼吸がどんどん熱く荒く高ぶっていく。


「わ!」


 ★粘性のBGMが消える。

 胸元から頬を外し、見上げるような位置関係。


「急に痙攣するでない! どうしたのじゃ。キモチよかった? なんじゃ、もう、びっくりしたのう」


 ★静かにリズミカルな粘性のBGMが戻る。

 声は胸元から。


「のう。手と手を、合わせてみても良いかの」


 頬を胸元から外した位置。


「わっちらの下半身はいま絡まりあっておるから、手持ち無沙汰じゃし」


 その少女の顔の横辺りで右手を恋人繋ぎにする肌と肌の触れ合う音。

 声は胸元の前。


「大きいのう。わっちの手が小さい? 失礼なのじゃ。これからもっと大きくなるから見てるといいのじゃ」


 声は胸元の前から、また近づいてきて右頬をくっつけてくる。

 聞いている側は、胸元の少し右よりからの声に。


「すぐ隣でずっと見てると良いのじゃ……」


 胸元の少し右よりからの声。


「そう、ずっと……うへへへ……」


 自分の発言にびっくりして、胸元からまた少し離れる。


「はッ」


 胸元の前から見上げてくる声。


「い、いや、今のは違うのじゃ。ずっとおぬしと居られるのを想像してにやけたわけじゃないのじゃ!」


 いったん言葉を切って、また左頬を胸元にくっつけてくる。

 聞いている側は、胸元の少し左側からに。


「……キモチイイかの」


 胸元の少し左側からの声。


「嬉しいの」


 胸元に顎をくっつけて見上げてくる位置の声。


「抱き締めて欲しいのじゃ」


 粘性の触手が優しく獲物を締め付けるような音。

 胸元に顎をくっつけて見上げてくる位置の声。


「えへへ、嬉しいのじゃー」


 胸元に顎をくっつけて見上げてくる位置の声。 


「もっとぎゅーってして欲しいのじゃ」


 粘性の触手が優しく獲物を締め付けるような音がより強く。

 胸元に顎をくっつけて見上げてくる位置の声。

 

「んー♪ んー♪ うへへへ」


 胸元に顎をくっつけて見上げてくる位置で深呼吸する音。 


「……♪」


 少し顔を離し、今度は額を胸元にくっつけて、俯きがちに。


「……こういう関係は初めてじゃから、わっちの脳も少しおかしくなってるのじゃ」


 胸元に額をくっつけて俯きがちなまま語る。


「ずっと独り身のまま人間に狩られるスキュラも多いのじゃ」


 胸元から額を外し、また右頬をくっつけてくる。

 声は聞いている側は胸元の少し右から。


「今夜はずっとこうしたまま寝るのじゃ」


 胸元から額を外し、また右頬をくっつけてくる。

 声は聞いている側は胸元の少し右から。

 少し照れたように。


「……くっついたまま、そっの端で腰を降ろすのじゃ」


 移動するような粘性の音。

 腰を降ろして、少し大きめのぐちゃっと音がする。


 身長差が埋まり、声が胸元から顔の前まで上がってくる。


「……お腹すいたかの?」


 声が正面から右肩の辺りへ移動していく。

 右耳の近くに少女の顔が移動し、落ちついたような呼吸も聞こえる。


 そして動くたび、胸元に柔らかなふたつが密着する音がする。

 

 右耳に囁くように。


「スキュラは意外と腹持ちが良いんじゃよ。食事どきは無防備になるからの」


 右耳に囁くように。

 少し我侭をいっている気分の声色で


「もっと抱き締めて欲しいのじゃ」


 粘性の触手が優しく強く縛り付ける音。

 右耳の辺りでの囁き声。


「んう……キモチいいのじゃ。おやすみ……」

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