第8章
第50話 帯刀
「ニャ~ン」
ネコが、武者フウウにすり寄って、甘えた声を出す。
『ちょっと、背後に回らないでよ』
武者フウウは、後ろに回られて警戒する。
「ここかニャ?」
コリコリコリコリ………
ツメで、武者フウウの背中をコリコリするネコ。
『わー、やめてぇー!!』
あわてて、ネコを引き剥がす武者フウウ。
「どうしたい、そんなにあわてて?」
クニヤスも、ビックリして様子を見る。
『わっ、なんでもない! なんでもないですぅ』
両手を振る武者フウウ。
「なに、背中を掻いてほしいの?」
と、あたっちが聞くと、
『違います!』
強く否定する武者フウウ。
「掻いてあげようか?」
あたっちも、悪ノリになり言うと、
『いや、やめてぇぇ』
泣き叫ぶ武者フウウ。
「なーんで、そこまで言うかなぁ」
おかしな人だなぁ。
『さわられるのが、イヤなんです』
半べそをかきながら言うので、
「へぇ、そうなんだ。そういえば、ミツクニさんはツタマさんのところに行くって言ってたけど遅いね。どこまで行ってしまったんだろう」
話題を変えるクニヤス。
「ねぇ、クニヤス?」
真剣な顔になるあたっち。
「ん?」
「ミツクニさんがいた方が、やっぱりイイのかな?」
ミツクニさんの前だと、クニヤスがやたら笑顔で。
「えっ、どうした?」
キョトンとした顔をするクニヤス。
「なんとなく、そんな気がして」
その頃
「ハァハァ………このままじゃ、体力が持たねぇ」
ねずみが、肩で息をする。
「ここは、一旦逃げるべきじゃあないか? あのおなごも、うずくまっているままだし」
サーシャを、指差すハタノ。
「むぅ………しかし、あんな怪物を放っておけぬが」
1匹は、なんとか重傷を負わせたが、他がピンピンしている。
「まだ、終わっちゃあいないよ」
ムクッと立ち上がったサーシャ。
気合いを入れたかと思えば、ズルッと腕が生える。
「おお、本当に腕が生えた!」
感心するハタノ。
「よし、反撃するぞ」
と、ねずみが言うが、
「でも、どうやって?」
サーシャの腕が再生されたところで、圧倒的な戦力差を埋めることは出来ない。
「なんとか、1匹は飛ぶことが出来ずにのたうちまわっているが」
それでも、命がけで二人で倒したにすぎない。
「そこで、なにをしておる?」
いきなり、声をかけられる。
「ヤバいな。こんなところを、お侍に見られては………」
昼なのに薄暗い場所で、影がズンズンと近付いてくる。
「困っておるようじゃな。助太刀いたそう」
ミツクニさんが、そう言うと、
「いえ、結構です………って、え?」
ビックリするハタノ。
「ハァァアアア」
刀を抜いて、気合いを入れるミツクニ。
「ミツクニさん、あいつらを倒して、あんたの立場は大丈夫か?」
妖怪の類いを倒したと、知れわたるとマズいので、心配するハタノ。
「どう見ても、話の通じる相手ではないでしょう」
苦笑いするミツクニさん。
「それじゃあ、そのお手並みをおがませてもらいますぜ」
ハタノも、苦笑いする。
「あぁ、まかせろ」
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