第40話 ヤギュウ屋敷
「おーい、見つかったってよ~」
ダンジュウロウさんを探す、あたっちとクニヤスのところに、銭形が知らせに来る。
「ダンジュウロウさん、見つかったんですか?」
と、クニヤスが聞くと、
「あぁ、悪かったな。舞台裏で寝てたらしいんでぃ」
困ったように笑う銭形。
「そうですか。安心しました」
まったく、お騒がせな話よね。
「それがよ、変な夢を見たって言っててよ」
腕組みする銭形。
「変な夢ですか?」
身を、のり出すクニヤス。
「あやしい女に、鬼と間違えられて空高くまで連れて行かれて、とかなんとか世迷い言を………」
首を、かしげる銭形。
「なんでしょう。興味深いですね」
クニヤスは、興味津々だね。
「そうかなぁ。いけねぇ、みんなにも知らせなきゃ」
小さく跳ねて、走り出す銭形。
「気をつけて」
と、手を振るあたっちに、
「おうっ」
跳ねて、一回転して振り返る。
「クニヤス………」
真剣な顔で、クニヤスを見るあたっち。
「ん?」
「もしかしたら、本当に妖怪のしわざじゃないかな?」
そう、あたっちが言うと、
「うん、そうかも知れない」
うなずくクニヤス。
「だよね」
「ってことは、オイラたち以外に鬼を狩っている人がいるってことだね」
腕組みするクニヤス。
「あっ、そうなるわね」
何者なんだろう。
「どんな人か、会ってみたいな」
遠くを見るクニヤス。
口元が、緩んでいる。
「そうよね」
「それと、キザミはまだこの町のどこかにいるってことだな」
真剣な顔になるクニヤス。
「うん………早く見つけ出さなくちゃ」
正直、戦って勝てる自信はないけど。
「もう、犠牲者を出したくないしな」
苦笑いするクニヤス。
「うん」
一瞬、母の顔がよぎる。
「急ごう」
走り出すクニヤス。
「ええ」
その頃
「ハァハァハァ」
ヤギュウの屋敷に戻ったグミちゃん。
魔力を使いすぎて、倒れこむ。
「どうだ? キザミを仕留めることは出来たか?」
ヤギュウが、そう聞くのだが、
「いや………あと少しのところで逃げられた」
くやしがるグミちゃん。
「なんと………」
へたりこむヤギュウ。
「次こそは、やってやる」
肩で息をしながら、イモ虫のようにタタミで悶える。
「うむ、これ以上死者を出してはならぬ」
渋い顔をするヤギュウ。
「わかってる。でも、どこにいるか………」
昼間は、空を飛んで探すと目立つので、捜索は難航している。
「皆目見当がつかぬか」
ガクッと、肩を落とすヤギュウ。
「もし」
庭に、虚無僧があらわれる。
「誰だ」
腰の刀に、手を伸ばすヤギュウ。
「ぶしつけではありますが、ヤギュウ殿とお見受けいたす」
こもった声を出す。
「いかにも。して、お主は?」
警戒を解かないヤギュウ。
「わしは、高野衆テンコツの配下ハタノと申す者」
頭にかぶった、かごを外すハタノ。
「なッ………して、ワシに何か用かな?」
一筋の汗がつたうヤギュウ。
「………」
夢幻想武勇伝~幼なじみが、おじさんにとられそうですSOS!~ なばば☆ @bananabanana1E
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