第35話 合流

「ワッ!!」


 茂みから、いきなり誰かが出てくると、


「おおお!?」


 ビックリする、クニヤスとあたっち。


「よぉ、クニヤスくん。私じゃよ!」


 ミツクニさんが、悪びれることなく言う。


「ミツクニさん、肝を冷やしたわ。あれ、フウウは?」


 と、あたっちが聞くと、


「あ~、道草でも喰っておるのやも………」


 などと、分かりやすくとぼける。


「エッ? それ、ホントですか?」


 つっこむあたっちに対して、


「なんじゃ! 目が疑っておる!」


 いきなりキレだすミツクニさん。


「なによもう」


その頃


『わっ! やめてよォ』


 泣きそうな声を出しながら、ねずみの攻撃をかわすフウウ。


「うるさい! くらぇええ」


 と、ねずみが突き出した刀が、


ズボッ


 鎧武者の、右腕を貫く。


『ひぃぃ、やめてぇ~』


 もがいて、外すフウウ。


「なんだコイツは!? 霊体かなにかか!」


 確実に刺されたはずのフウウの右手だが、血は一滴も流れていない。


『もう、やめて!!』


 刀を構えて、ジリジリ下がる武者フウウ。

 その様子に、飛びかかるねずみだが、


「ぐっ………ぁああ~~」


 なにかしら見えないモノに、押されたように土塀まで飛ばされて、めり込むねずみ。


「ねずみ!」


 陣羽織の女性が、声をあげる。


「クッ………」


 かなりの衝撃に、すぐ動けそうにないねずみ。


「このォ」


 フウウに、鋭いツメで襲う赤い陣羽織の女。


『わっ! イヤだぁ』


 刀を、振り下ろすフウウ。


「見切った」


 太刀筋を見て、スキを突く赤い陣羽織。


『ガァッ』


 ツメが、胴に突き刺さる。


「手応えはないが、効いてはいるな」


 鎧武者の首根っこを、掴む赤い陣羽織の女。


『この程度でっ………』


 抵抗するフウウ。

 その時、


「ハッ!」


 あたっちが、錨を振り上げて陣羽織の女に振り下ろす。


「なんだ!?」


 当たる寸前で、避ける陣羽織の女。


「大丈夫か、フウウ!?」


 そう、クニヤスが言うと、


『なんとか大丈夫………です』


 気丈に答えるフウウ。


「こいつら、なに者だ?」


 クニヤスは、フウウから聞こうとするも、


『わからない。いきなり襲われて』


 首を、振るフウウ。


「なんだ、貴様ら」


 忍者が、クニヤスに聞く。


「お前らこそ、なんなんだ!」


 本人に、直接聞くことにしたクニヤス。


「貴様らに、名乗る名前は持っておらぬ。一旦引くぞ」


 忍者が、赤い陣羽織の女と目を合わせる。


「待て!」


 と、止めるクニヤスだったが、


「次、邪魔だてするなら、確実に斬る! さらば」


 煙が、立ち込める。

 ノドが痛くなる。


「わっ!?」


 忍者たちの姿が見えない。


『消えた!』


 逃げられたようだ。


「チッ………」


 くやしがるクニヤス。


「誰でしょう? 忍者のようでしたが」


 あたっちが、ミツクニさんに聞くと、


「むぅ」


 微妙な返事を返すミツクニさん。


『とりあえず、アタシは無事なんで一旦帰りましょう』


 フウウが、負傷していないと言う。


「そうよね。これ以上騒ぎが大きくなると、十手持ちが来て厄介だわ」


 取り調べとか面倒だし。


「おう、そうしよう」

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