第27話 戦果
「おお、ここにおったか。探したぞ」
ミツクニさんたちが、やって来て、
「ミツクニさん。リリが、ゆ───」
クニヤスが説明する途中で、強く抱き締めるミツクニさん。
「おぉー、無事であったかぁ」
クニヤスに、スリスリするミツクニさん。
「ぁあのぉおお、聞いぃてまふ?」
呼吸さえ苦しいクニヤス。
「ちょっと、ミツクニさん。クニヤスが苦しがってるでしょ」
思いきり、ミツクニさんの背中を引っ張るあたっち。
どこに、こんな力があるのよッ。
「クニヤスくん、よく雪女を倒したね!」
動じないミツクニさん。
「いや、倒したのはリリだよ!」
ようやく、話せるクニヤス。
「そうかそうかぁ~」
クニヤスの頭をなでるミツクニさん。
「コイツ、聞いてないわね」
あたっちを、一切見ないミツクニさん。
「ちょっ、まだ雪女を倒しただけですから、他の妖怪が」
まだ、安心は出来ないと言うクニヤス。
「そうじゃったな。しかし、どうやって倒したのじゃ?」
ようやく、クニヤスから離れるミツクニさん。
「………というわけで」
クニヤスが、簡単にいきさつを話すと、
「なるほどな。そんな方法で」
腕組みして、うなずくミツクニさん。
「また、筆に救われました」
『とりあえず、寒くなくなっただけでも、助かります』
武者フウウが、そう言うと、
「えっ、寒さとか感じるんだ?」
クニヤスが、興味深そうに聞く。
あたっちも、幽霊かなにかだと思っていたので、ビックリだよ。
『えっ、もちろん感じますよ?』
首を、かしげる武者フウウ。
「コワそうなのが、出てきたと思ったら、そうでもないニャ」
クニヤスの後ろに、隠れていたネコが出てくる。
「あまり、調子に乗ってると、斬られるわよ?」
わざと、怖がらせるあたっち。
「ニ゛ャッ」
クニヤスの陰に隠れるネコ。
『大丈夫です。あなたが人に危害をあたえないかぎり、アタシは斬ったりしないので』
両手を振る武者フウウ。
「ホッ、よかったニャ」
腰を、左右に振るネコ。
「それじゃあ、一旦家に帰るかな」
あたりは、闇につつまれようとしている。
ちょうちんを持っていないので、これ以上の捜索は危険だね。
「そうね。クニヤスの家に集まろう」
あたっちが、そう言うと、
「うんうん………って、本当かよ」
クニヤスが、ビクッとする。
「そう、クニヤスくんの家に行こう!」
ミツクニさんが、張り切っているので、
「ミツクニさんは、帰ってもイイんですよ?」
あたっちが、意地悪く言うと、
「断る」
即答するミツクニさん。
「アハッ、そう言うと思った」
その頃
ズボッ
地中から、右手が突き出る。
それを、カラスが見ながら、
「カァアーッカァアーッ」
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