第13話 高野衆

「邪魔をするなら、この竜たちの餌食になってもらうぞ!」


 ア能衆の、ヤギュウが大声で牽制する。


「なにを! ゴエモン! カンネン! 行くぞ!」


 初代の玄孫、三代目ゴエモンと、カンネンがテンコツとともに竜に立ち向かう。


「「ハッ!!」」


 竜に向け、駆け出す三人。その他の集団は、横一列に並んで、妖怪の進行をくい止める。


「こしゃくな連中だ。グミちゃん、この場は我らア能衆にまかせて、江戸へ」


 ヤギュウが、そう言うと、


「えっ、一緒に戦うよ?」


 置いては行かないと言うグミちゃん。


「なりませぬ。竜二匹だけ残して行ってくだされ。相手は、手強い」


 苦笑いするヤギュウ。


「う~ん。死なないでね」


 折れて、先へ進むことにするグミちゃん。


「はい! 存分に戦って見せます」


 ア能衆の面々も、力こぶを見せる。


「それじゃ行くね」


 多数の、妖怪を引き連れて移動を始めるグミちゃん。


「待ちな。江戸へは行かせねぇぜ!」


 グミちゃんの、行き先をふさぐゴエモン。


「くっ!」


 苦々しい顔色になるグミちゃん。


「ここは、我らが。早く」


 二人の、間に入るア能衆。


「うん」


 たくさんの妖怪を引き連れて、走り出すグミちゃん。

 丸太のような杖に跨がって、飛んでいく。


「行かせねぇ」


 ゴエモンが、グミちゃんを追うが、


「ゴエモンよ。ワシが相手してやる」


 ヤギュウが、立ちふさがる。


「なに! ヤギュウか。相手にとって不足なし!」


 刀を抜くゴエモン。

 それを見て、刀を抜くヤギュウ。


「いざ、尋常に」


「勝負!」


 刀どうしがぶつかり、火花が散る。


「クッ! なんという固さ!」


 竜の背中に飛び乗ったテンコツが、刀で刺そうとするのだが、深くまで入らない。


「ウロコが固すぎて、刺さりません!」


 カンネンが、泣き言を言う。


「あわてるな! どこかに弱点はあるはず」


 暴れる竜から、飛び降りるテンコツ。


「竜の弱点なんて、聞いたことないべさ」


 高野衆の面々も、骨が折れる。


「みんな、喰われてしまう!」


 体力的に、弱った者から竜に喰われていく。


「みんな喰われる前に、探るのだ」


 発破をかけるテンコツ。


「ハッ!」

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