第10話 地を這う竜

「おい、ウチに鎧を着た変なヤツが来てな………」


 村人が、となりの家まで行って、そこの家主と、庭先で立ち話をしている。


「おめぇのところもか!」


 驚いた顔を見せる村人。


「おめえさんとこも? ありゃあなんだべ!?」


 そう、聞くのだが、


「おらは、あんなの初めて見たぞ!」


 今まで、鎧武者を見たことが無い村人。


「んだ。声も、聞き覚えのねぇだな」


 知り合いでもないと言う。


「んだんだ」


「おーい、おめーら。なに話をしてんだ~」


 別の村人が、小走りでやって来る。


「おーい、こっちこーい」


 手招きして呼ぶが、


「おーう、ちょ」


 次の瞬間、向かって右の山から、極太の丸太が飛んで来て、小走りしていた村人の左肩にそれが当たったと思ったら………

 首から上を、かじり取って、丸太は横へと飛んで行く。


「あんれ!」


 ビックリする2人。


「うわあ、なんだべ!」


 衝撃で、固まる村人。


「きへいさん、こりゃあ」


 と、振り返ると同時に、家がものすごい轟音で、なにかが突き抜け、もう1人の村人も喰われ、


「………」


 返事がない。


「うひっ!! うわあああ」


 ようやく、ここがあぶないと感じて、あわてる村人。


「たっ! 助けてくれぇ~」


 丸太ではなく、竜だった。


「グフゥ」


 脇腹を、かじりつかれる村人。


「こら! 人間を襲うなっての」


 竜に乗ったグミちゃんが、しかりつける。

 調教に、時間をかけたのに、まだ不足しているようだ。


「ワレラノ進ム先ニイタダケ」


「ナニモシテイナイ」


 反省していない二匹の竜。


「それでも、ダメ!」


 さらに、しかるグミちゃん。


「………」


 黙りこむ竜。


「わかった?」


 魔法陣を出すグミちゃん。


「アア」


その頃


「ヘイゾウ様」


 侍が、鎧武者に襲われた現場に、しゃがみ

こむ男に、声をかける銭形。


「おう、銭形。げしゅにんは、見つかったか?」


 火付け盗賊あらための、ヘイゾウが立ち上がる。


「それが、聞き込みしたのですが、まだ見つかりません」


 首を、横に振る銭形。


「たまたま、死人が出なかったとはいえ、のさばらすわけにはいかぬでござる」


 アゴを、なでるヘイゾウ。


「はい、見つけ次第引っ捕らえまする」


「おう。あっ、あれは」


 野次馬の中に、ミツクニの姿を見て、歩み寄る。


「ヘイゾウ様」


 ミツクニさんと、ヘイゾウさんは知り合いみたい。


「ミツクニ様。どうされた?」


 野次馬の中に、ミツクニがいるのが不思議なヘイゾウ。


「いや。鎧武者が、どうなったのか興味がありましてな」


 正直に言うミツクニ。


「と、言いますと目撃されたのですか?」

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