第5話 美肌おじ

「クニヤスくんが今まで描いた浮世絵も、見せてくれないか?」


 とりあえず、ミツクニさんにはお部屋まで上がってもらって、お茶を出す。


「別にイイですけど………」


 しぶしぶ、描きためた絵を出すクニヤス。


「ほぉー、なるほどなるほど」


 じっくりと、浮世絵を見るミツクニさん。


「えっと、恥ずかしいな」


 頬を、赤くするクニヤス。

 なんだか見るの、久しぶり。


「私は、古い書物を収集するのが楽しみでしてな、浮世絵も好きだし、普段は書物を読んで暮らしておる」


 絵を、次々と見ながら話すミツクニさん。


「はぁ。それは雅でござりまするな。どおりで、顔がツルツルして───」


「そうでござろう」


 クニヤスに、べったりとくっつくミツクニさん。


「ちょっと、ミツクニさん?」


 間に、割って入るあたっち。


「お嬢さん、どうしましたか?」


 不思議そうな顔をするミツクニ。


「クニヤスと、すごく近くありませんか?」


「そうかの? それは気がつかなんだ」


 とぼけるミツクニ。


「本気で言ってます?」


「カーッカッカ。細かいことは、よいではないか」


 高笑いするミツクニ。


「うーん、気にしすぎかなぁ」


 あやしい気もするけど。


「お腹減ってないかな?」


 唐突に、そう言うミツクニさん。


「ちょっと、減ってます」


 自身のお腹を、さするクニヤス。


「ラーメンでも、食べに行こう」


その頃


「誰かいるのか」


 森の中の大きな岩の上で、座禅する高野衆の首長テンコツが、木の上に気配を感じる。


「ハッ、テンコツ殿」


 飛び降りて、片ヒザをつくねずみ。


「ねずみではないか。なにようだ?」


「石工集団ア能衆ヤギュウに、不穏な動きあり」


 テンコツに、報告するねずみ。


「なに、ヤギュウが謀反か?」


 目を、見開くテンコツ。


「いえ、妖怪を使ってなにか企てをしているよし」


「なに? 腹が読めぬな。詳しく調べてくれ。こちらも、高野衆を集めておく」


 腕組みするテンコツ。


「はッ」


「この太平の世を脅かすようであれば、容赦なく斬る………」

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