第2話 時空ワレメ

「………ッツ。どこだここは?」


 数年前のこと。

 1人の、魔法使いが時空の割れ目から、あらわれた。

 その女性の名前は、グミちゃん。

 周囲は薄暗く、月明かりで見るかぎり森の中のようだ。


「ドラゴンの血で、割れ目が出来て………そ

うだ」


 記憶をたどるグミちゃん。


「状況が、つかめないな。んッ?」


 ようやく立ち上がり、歩きはじめると足になにかが当たる。

 それをかがんで、じっくりと見てみると、


「リザードマンか。おい、しっかりしろ!」


「………」


 ゆすってみるが、反応はない。


「蘇生が無理なら、やるか………」


その頃


「おーい、帰ったぞリリ」


 リリの父親は、罪を犯した罪人を、手漕ぎ舟に乗せて、流刑の島へと運ぶ船頭を生業にしている。


「あっ、おとーちゃんおかえり」


「お前さま。お風呂沸いてますよ」


 リリの母親が、そう言うと、


「おーけー、ちょっくら入ってくらぁ。リリも入るか?」


 そう、おとーちゃんが誘ってくるんだけど、


「ううん。後で入るわ」


 断る、あたっち。


「おっ? なんだ、この前まで一緒に入っていたのに」


 少し、さみしそうな父。


「リリは、もうお年頃なのよ」


 おかぁさんが、そう言うと、


「あっ、おっ。そうなのかぁ」

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