第2話

ちょっと、一服しに行きませんかね。

そう言って部屋を出ていく刑事さんの後について

階段上の奥まった小部屋で刑事さんと2人煙草を吸う。

刑事さんが煙を噴き上げるようにしてぼそっと話し始めた

「今じゃどこ行っても禁煙禁煙ってねぇ、吸えるところ一つ探すにも骨が折れますよ。」

「実を言うとね、調べはついてるんですよ。

貴方のアリバイは証明済みです。」

そりゃそうだ、俺は元々PC依存で食事以外外には行かない。

出前取るのが関の山だ。

「そしてね、ちょっと刑事っていうのを忘れて聞いて欲しいんですけどね‥

俺は見えないけど感じる方のやつなんですよ。」

いきなり刑事らしからぬことを言い出してきた。

更に刑事さんが続ける。

「貴方の部屋に行ったとき、冷たい空気が部屋から流れ出てくるのを感じてたんですよ。

まさか取調室まで連れてくるとは思ってませんでしたがねぇ‥。」

「それはこっちの台詞ですよ、刑事さんが連れてきてたんじゃないんですかアレ‥。」

「さっきも言いましたが、俺は感じるだけの方でね‥。事件現場行って冷気があるなしがよくあるんですよ。

だからあなたの部屋に行った時、部屋から流れ出てくる冷気にもしかしたら犯人なんじゃないかと思ってたんですがねぇ‥。」

「俺は仕事柄、ほとんど外に出ませんよ。プライベートでも外はあんまり好きじゃないですから。」

「それは調べがついていますよ、さっきも言いましたがね。」

ふと、刑事さんがこっちへ向き直った。

「そこで提案なんですがね。」

次の言葉に絶句した。

「あなたが被害者から犯人が誰なのか聞いてみてくれませんか?」


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