103.襲撃

『おいおい、大歓迎だな』

『軽口を叩いてないでなんとかしろ、李偉』

『そういうのは吾郎の仕事だな』


 指名された吾郎は魔力を高め、天空から文字通り無数のあられを降らした。

 しかしその霰の効力は絶大だ。

 なにせ雨のように降り注ぐ霰に触れると一気に身体が氷結するのだ。

 地面に落ちた霰も氷岩となって敵の術の構築や陣形を崩している。

 あっという間に一面が氷の岩や氷像の景色に変わった。

 流石に中央の寺院などは結界が張ってあってその内部にまでは届かない。

 だがその威力も範囲も、そして発動速度も素晴らしい。


『凄いな』


 レンはブースターなどなしにまだあの出力では魔法は放てない。

 だが吾郎はまだまだ余力を残している。既に次の術の準備に入っている。

 李偉は吾郎の術に耐えた者たちから散発的に飛んでくる術を拳や蹴り、手に持った青龍偃月刀で振り払う。

 紅麗は単純に魔力を圧縮して放出してそれらを吹き飛ばしていた。

 まだ障壁や結界は張れないらしい。

 だが紅麗の場合はそれで十分だ。レンの何十倍、もしくは何百倍もある魔力総量がある紅麗は、手を振っただけでレンが気合を入れて練った魔法並の威力を簡単に凌駕する。

 以前は垂れ流しで効率の悪かった魔力の制御もかなりマシになっている。

 紅麗は術士としての才能もあったようだ。


『飛べ、青華剣』


 更に紅麗が持つ剣が宙空を高速で飛び、吾郎の広範囲殲滅術式の対応で陣形の乱れた者たちの首を落としていく。

 青華剣と呼ばれる美しい剣は7つの首を落として紅麗の元へ戻ってきた。

 敵方も術士集団である。当然障壁や結界も張れば武具で身を守ろうとしている。しかしそれらを蹂躙する吾郎と紅麗の力は規格外だ。

 藤森家くらいならこの4人が居れば簡単に滅ぼせるのではないかとレンは思っている。

 由美は地味ながら飛んでくる術に細かい術をぶつけて逸している。こちらはなかなか繊細な制御能力を持っている。強力な術をより威力の小さい術でレンたちに当たらないようにうまく軌道をずらすのだ。


 レンは豊川家に貰った十文字槍を構え、左腕には竜鱗盾を装備している。

 腰には小茜丸も差している。

 レンも何もしていないわけではない。特性の手榴弾をばら撒いている。

 魔力防御を貫く鋼片が入った物もあればエアリスから貰った毒花粉などを撒き散らすもの。単に毒々しい紫色の煙玉など様々な物を無造作に投げていく。

 ガワは同じだが中身は色々だ。向こうも警戒しない訳にもいかず、撃ち落とそうとして運悪く毒花粉をばら撒いたり、うまく防いだ者も居るが防戦に徹させる策としては成功だ。

 相手も手練が多いようだが奇襲になったことと、吾郎の術でかなりの人数が戦闘不能になっている。更にレンの追撃だ。相手の混乱が手に取るように見え、ニヤリとほくそ笑む。


(うまくハマったけれど相手のレベルが高いな)


 敵の術式の中心となっているのは修験道系だ。だが外に居た者たちとは系統が違う。

 更に内部の規模と術士の人数、質がレンの想定していたものよりも1段階も2段階も高い。

 相手の組織を潰したいという抗争なら別だが、そういうわけではない。

 こういう時は目的だけを達してさっさと逃げるに限る。


『今のうちだ、行くぞ』

『それで、目的はなんなんだ』

『あの東の屋敷だ。何年も前からずっと視られて居た感覚があった。その出処はずっとわからなかったんだが、たまたま近くを通ったらしく、その視線の主が近いことがわかった。どんな奴か確認してやろうと突っついてみたらこの様だけどな。吾郎の言っていた待ち人ってのは多分ソレだ』


 レンが近くを通った時、久々にあの視線を感じた。〈龍眼〉で跳ね返して以降、その視線からは逃れたつもりでいたのだ。

 だがそれが偶然だとは思えない。明らかにレンを誘っていた。

 故にレンは葵とエアリスとの簡易旅行の帰宅の予定を変えて偵察に出たのだ。

 まさかいきなり矢で射られるとは思わなかったが。


 相手も陣形を整え直し、空中を飛ぶレンたちに砲火が飛んでくる。

 藤森家の精鋭たち、その程度の練度の者はゴロゴロ居る。更に上位の術士も散見される。

 飛んでくる独鈷杵や三鈷杵をレンは槍で弾く。十分に魔力が込もっていて態勢が崩れるが、槍には傷1つ残っていないし、レンの魔力によく馴染む。


(この槍はやはり良いな)


 シルヴァが嫉妬をしそうだが、純粋な魔力の通しやすさ、頑丈さ、斬れ味など文句の付け所がない。

 レンの魔力では全て注ぎ込んでもまだ容量が余る。

 使いこなせていないという過分な十文字槍だが、豊川家の宝物庫にあったものだ。

 相当名のある槍なのだろう。

 様々な霊刀、霊剣、霊槍などこちらの世界での武具を奪ってきたが、この十文字槍は小茜丸に並ぶ霊槍で、非常に格が高い。レンの知る限りは最高峰だ。

 ただ李偉や紅麗が装備している武具も同レベルではあるが。


(それに素直だしな)


 レンの知る上位の魔剣は意思や性格があり、持ち手として認められないと手に取ることすらできない。

 だがアーキルや李偉たちが持つ武器はそういう不便さはない。

 魔力の質や属性の相性はあるが、持ち手を剣が選ぶなどということはないのだ。

 古い伝承ではあるというのでないことはないのだろうが、少なくともレンはそのような魔剣の類にまだこの世界で出会っていなかった。


『あそこだな。真ん中の寺院じゃねぇんだな。何が目的だ? まぁいい。アソコはヤバそうな気配がプンプンしてるからな。じゃぁ先に俺が突っ込む。紅麗は周囲を蹴散らしてくれ。吾郎は後衛で敵をコレ以上近づかせないようにな。由美は紅麗についてくれ』


 李偉が最も長く仙人としての経歴が長い。この4人でのリーダーは李偉のようだ。

 スカイボードではなく、宙を蹴り、李偉が敵陣に突入していく。

 李偉は剣術、槍術、体術などの達人だ。未だレンは底すら見えていない。

 レンは未だこの戦闘では最も地力が低いのだ。

 由美ですらレンよりも魔力量だけで言えば10倍以上ある。

 そして敵は苦戦してはいるが、明らかにレンより上位の術士がゴロゴロしている。


(また葵に怒られるな)


 そう思いながら強化薬ブースターを飲む。地力ではこの圧倒的戦力をどうにかできると思うほど現状のレンは強くない。

 防御はついてくれているカルラが手助けしてくれるだろうが、単純な火力が足らないのだ。

 だがそれと役に立たないのは別の話だ。レンはレンの仕事をきちんとこなす気でいた。


 李偉についていくように東側にある屋敷に向かう。

 しかしその屋敷も強力な結界に護られて居る。

 だが形式は同じだ。先程の結界は何重もの結界を張り巡らしていたが、この屋敷の結界は1つだけだ。その代わりに強度が高い。しかしレンの作った修験道系結界特攻の結界破りでも行けると踏んだ。


 スカイボードから飛び降り、結界破りの楔を3本使って屋敷を守る結界を破る。

 李偉は広い中庭に居る護衛たちを蹴散らしてくれているようだ。

 吾郎は周囲から集まってくる術士たちを牽制している。

 紅麗は自由自在に暴れ回っているようだ。

 鬱憤でも溜まっていたのだろうか。その暴風のような暴れっぷりにレンは見とれてしまいそうだ。

 2本の剣を飛行させて操りながら西洋ではグレイブに似た形状のホコを操り、侍や修験者たちを斬り捨てていく。

 震脚が足跡ではなく小さなクレーターを作っている。

 それでもレンの与えた腕輪をきちんと装備し、その本領はまだまだ発揮していない。


 暴風と言えば風の結界と言える強力な円柱形の竜巻のような結界を吾郎が張り、屋敷の外から来た敵方はその攻略に手間取っている。

 中心の寺院の守りが最も厚かった。狙いがそこでないことも意表をついたのだろう。

 レンは李偉や紅麗たちが暴れ回っている間に目的地に急ぐ。

 屋敷の奥に聖気が吹き出ている特殊な場所があり、厳重なことにそこにも結界が張られている。


 幾度か戦闘を繰り返し、なんとか奥の間に辿り着く。

 その奥の間を守る護衛が4人、見ただけでわかる手練だ。

 ただ1人は何かしら魔眼を使ったのか目を押さえて魔力が乱れている。レンの〈龍眼〉にナニカされ、跳ね返した感触があった。

 〈龍眼〉は以前よりもまだマシ、というくらいには使いこなせている。


(移植した甲斐があったな)


 レンはニヤリと笑った。

 様々な機能がある〈龍眼〉だが、日本では瞳術と呼ばれる魔眼の効果を防ぎ、反撃する機能がデフォルトでついている。

 幸いなことに信光の時のようにほとんど効果がないということはなかった。


 残り3人には岩弾を放射しつつ接近戦を挑む。

 先程の槍使いも相当な使い手だったが、精鋭なのか3人を同時に相手にすることができない。うまく3人で連携し、レンの隙を突いて確実に傷を与えてくる。合間合間に術も交え、屋敷がお互いの攻撃の余波で崩れていく。

 レンは傷つき、防戦一方だ。まだ1人も倒せていない。


 ドンッ


 だがレンが使った特製の拳銃の一撃は効果を発揮し、1人に重傷を与えることができた。

 アーキルに教わった戦術は不意をつくのに向いている。相手も剣戟の間に銃で撃たれるとは思っていなかったようで驚いた表情を浮かべている。


 ドンドンドン


 同時に3発牽制に3点バーストで撃ち、銃は戻す。

 流石に急所には当たらないが多少の手傷は与えることができたし、相手との間合いも取れた。そこに魔法で追撃をし、相手の1人をズタズタにした。


 敵の使う修験道は見た感じ古流の術式が多く、多少改良はされているがレンはそれらの源流の術を習得している。

 相手が使う術がわかっているというのはアドバンテージが非常に大きい。

 更に魔眼持ちの男は後衛として前衛の3人を補佐する立場にあったようだが、今は機能していない。

 これが最初に潰せたのが大きい。

 レンはこの巨大な組織を潰すことが目的なのではなく、レンがこの世界に転生してからずっと視られていた視線の持ち主、〈千里眼〉の術者と目的を確かめたいだけだ。


 思ったより相手の組織が大きく、戦場は混乱を極めているが李偉や吾郎、そして彼らの叡智と執念の結晶と言えるべき最強の僵尸鬼、紅麗が暴れ回っている。

 相手も神霊レベルの敵が襲ってくるとは思っていなかったのだろう。


 また、明らかに中心部にある寺院は防御を選択したようだ。

 レンも目的がなければそこに突貫していた。明らかに相手の中枢部だからだ。

 潰せれば指揮系統が乱れ、更に多くの宝物などを奪えたかも知れない。

 ただ飛んでいただけなのに襲ってきたのは彼らの方だ。そうなればレンは容赦などしない。

 ただ今回の目的はレンをずっと監視していた〈千里眼〉の持ち主を確かめることだ。中央の寺院は今回の目的ではない。


 視られているだけで特に不利益を被ることはなかったが、やはりレンとしてはずっと気になっていたのだ。なぜレンを、しかも覚醒してほぼすぐから視線を感じていた。

 しかし相手からのコンタクトもなく目的すらわからない。まるでレンが覚醒するのを知っていたようだとレンは感じていた。

 残り2人の前衛をブースターと十文字槍と魔法で無理やり突破し、その能力をそれなりに開放することができるようになった〈闇の茨〉や隙をついて牢獄結界などで1人ずつ対処し、〈白牢〉に放り込んでいく。

 今までレンが直接相対した人間の中では李偉を除けば最も手強かった。

 李偉はあの時は本気でレンと戦う気はなかったのだ。


 4人の精鋭をなんとか破ったレンは明らかに聖域と思われる奥の間に辿り着いた。他にも何人か追加で来たが4人の精鋭ほどの強さはなかった。

 巨大な何重もの結界は十分強力だったがその奥の間を護る結界は明らかに格が違う。更に形式や目的も違うようだ。レンの知る知識に残念ながらこの結界の知識はない。


(これは破れるか?)


 レンが疑問に思い、撤退も視野に入れた時、なぜか奥の間の襖が開き、中からは巫女服の女性の集団が現れた。しかし前に出ている女性は明らかに格が高く、残り9人が巫女服。他は使用人なのであろう。和装で装束が違う。

 総勢17名、比較的若いものが多い。襖を開けた女性はレンをしっかり見据えている。

 そして飛び切り突出している魔力持ちでもあり、聖気にも溢れている。

 他の女性たちも今のレンでも2、3人ならともかく17名を相手どるのは不可能だ。結界を破るにはカルラにでも頼むしかない。

 しかし彼女は厳重に張られた結界から足を踏み出し、外に出て中心人物と思われる美しい女性が膝を突き、頭を垂れた。


「旦那様。ご無礼だとは承知しておりますが、我ら〈蛇の目〉の神子、また侍女や見習いなど17名、保護していただきますよう、何卒、何卒お願いいたします」


 大和撫子のような、そして古風な雰囲気の美女が頭を垂れてくる。

 この展開は全く予想していなかった。17名の女性たちも全員の総意ではないのか幾人かかなり混乱しているし、まだ幼いと言って良い子も混じっている。


 だが目の前の女は間違いなくレンをずっと監視していた〈千里眼〉を持っていた女だ。

 この女の正体と目的を確かめたくてずっとレンは我慢してきた。

 そしてたまたまだが奥州の山岳地方の奥地にその本人が居ることを感知し、突っ込んでみたら思っていたよりも上位の組織だと思われる本拠地で、その奥に居た女性は結界を自ら出て庇護を求めてきた。少し展開が急過ぎてよくわからない。だが悠長に考え込んでいる時間はない。

 そしてこの巨大な空洞に隠れ里を作っている者たちが〈蛇の目〉であることをその時初めて知った。


 レンはその時直感でこの女性たちは保護すべきだと感じた。

 待ち人と言うのもこの娘だろう。

 この後どうなるかはわからない。〈蛇の目〉は秘密も多く巨大な組織だと言う。玖条家の戦力では間違っても敵対しては行けないレベルの組織だ。

 そして彼女たちを攫えば完全に敵対するだろう。いや、すでに戦端は開かれている。

 だがレンは自身の直感を信じるタイプだ。特にこういう時の直感は当たる。

 残念ながらギャンブルには使えないが……。レンはギャンブルは弱いのだ。


「わかった。即座にこの黒渦に入れ。従うなら悪いようにはしない」

「ありがたき幸せ。旦那様の為に我ら一同粉骨砕身も厭いません、どうぞご自由に使ってくださいまし」


(なんでいきなり旦那様呼びなんだ?)


 レンを旦那様と初対面で呼ぶ女は10代後半から20代前半に見えるが、17人の女性たちは魔力量も年齢も、その姿から戦えるかどうかわかる。

 即戦力としてはほとんど使えないだろう。魔力や聖気は強いが武の気配がない。

 だが直感は彼女たちを引き入れるべきだと言っている。

 幸い〈箱庭〉という良い場所がある。17名全てに〈箱庭〉の入り口である黒渦を潜らせ、暴れ回っている吾郎や李偉、紅麗、由美など撤退の指示を出す。


 向こうも痺れを切らしたのか、中央の巨大な寺院から強力な魔力持ちや明らかに神霊クラスの気配が出てくる。

 増援は出てきたし、数の差で吾郎たちも苦労している。致命傷は受けていないがレン共々それなりに傷を負っている。元気なのは紅麗くらいだ。

 だが目的は達した。

 下手に欲を出さずにとんずらこくのがレンの判断だ。


『撤退だ』


 レンが叫ぶと吾郎たちは一気に魔力を高め、周囲の術者たちを跳ね飛ばし、スカイボードに乗る。

 すでにレンが開けた結界の修復は済んでいる。

 だが警備は厳重であったが混乱している入り口がある。

 レンはこっそりとフルーレを取り出し、太さ3m,長さが20mをある氷柱砲撃を入り口に放ち、出入り口を無理やり確保して速攻でとんずらした。


『なかなかハードな初陣だったな。吾郎、紅麗、李偉、由美。無事か』


 当然ながらレンだけでなく吾郎たちも無傷とは言わない。

 相手の数が多かったこと、練度が高かったこと。また、修験者だけではなく武士や僧侶など、また、少なかったが神官や陰陽師も居た。

 巨大な鬼の式神や、角の生えた猪の式神と李偉は戦っていたが、李偉たちが蹴散らせないと言うことは相応の強さを持った式神だったのだろう。


『あぁ、多少の傷は負ったが致命的な欠損なんかもないし、武器が失われてもいない。大丈夫だぜ。一応この仮面とローブで姿も隠していたしな』

『じゃぁ悪いが元の場所に戻ってくれ。速攻で離れる』

『わかった。働いた分のご褒美、期待しているぜ』

『考えておくよ』


 レンは彼らを〈箱庭〉に収容し、元の世界で作った最高峰のスカイボードに乗り、わざと隠密を掛けずに1度北海道側に向かい、ぐるりとUターンして日本海側に超高速で逃げ出した。

 日本海上空を走り、福井県の辺りで地上上空に戻り、そこで全力で隠蔽や隠密を掛けながらレンは豊川家に向かった。


『アーキル、5級警戒態勢。黒縄たちにも警戒を緩めるなと伝えろ』


 即座にスマホを使い蒼牙と黒縄にも指示を飛ばし、警戒レベルを上げる。

 相手は予知能力集団だ。しかも〈千里眼〉でレンを見ていた者たちが居た。

 〈千里眼〉使いが1人とは限らないのだ。

 相手が〈蛇の目〉であるのなら今回の襲撃を予知していなかったとは思わない。実際襲撃への対応はかなり整っていた。

 更にレンたちの正体がバレているのかどうかすらわからない。


(ちょっとした気まぐれ旅行気分だったのに大きな地雷を踏んだなぁ。だけれどあの僕をずっと見てきた女。〈龍眼〉を持ってからは見られてはいないけれど、それでもずっと気になっていたし。それに〈蛇の目〉、情報がほとんどない集団だ。彼女には色々話を聞かないとな)


 アーキルたち、そして吾郎たちとレンはその時その時で表に出せない者たちを〈箱庭〉に囲ってきた。

 あの女たちも同様に安易に外に出せるような相手ではないだろう。

 本人は神子と名乗っていた。つまり〈蛇の目〉が囲っている予知能力者だ。


(〈蛇の目〉に詳しそうなのは鷺ノ宮家か豊川家だが聞くなら豊川一択だ。それに抗争になれば万が一美咲にも影響があるかもしれない)


 美咲は最近東京に引っ越してしまっている。そこを豊川家とは関係のない〈蛇の目〉が玖条家と争い、近くに居れば否応なく巻き込まれる。

 流石に相談しない訳には行かないだろう。そう考え、レンは直接豊川家に向かっている。

 豊川家に行くと驚かれながらも当主美弥の元に通され、美弥に話すと「藤様の元へ行くが良い」と言われてしまった。

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