第8話 悪魔ちゃん
いつも通りの放課後。
しかし、今日は少しだけ違う...。
何が違うかというと、今日は掃除当番がある日なのだ。
「...ごめん!大志くん!今日も掃除お願いしていい?俺たち実は急ぎの用があってさ!」と、クラスの陽キャにそんなことを言われる。
一回OKを出してからずっとこんな感じで、もうすでにこれが3回目くらいである。
1、2回目にOKと言ってしまった手前、NOとは言いづらくいつも通り一人で掃除を始める。
今日は...2階の階段だったか。
そうして、階段の踊り場に向かい、一人で掃除を始める。
すると、遠くであの陽キャの声が聞こえる。
「おい、いいのかよ、掃除」
「大丈夫、大丈夫!大志くんは優秀だからw」
「名前で呼んで仲いい感じ装って...お前最低だな」
「とかいいつつ、お前だって本当はうらやましいんだろ?wよーし、みんなでカラオケに行くぞー!」
どうやら急ぎの用とはカラオケのことらしい。
まぁ、別に変に目立っていじりの対象になったり、いじめにあうくらいなら、これくらいのことはなんてことはないのだが。
そんなことを思いながら適当に掃除を始める。
すると、「なんで一人で掃除してんの?ウケるw」と後ろから声を掛けられる。
そこに立っていたのは学校で一番有名なやばい女子...。
確か名前は...【
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093085125287903
学年は俺と同じ2年で、ありとあらゆることをやっているとか...。
ありとあらゆることとは...薬物、売春、暴力...などなど。
そういう噂が絶えないヤバ目の女子なのだ。
そんな女子に...今、声をかけられているのだ。
無視はやばいと思って「...は、はい」とだけ返事する。
「おもろwびくびくしちゃってw」と、どんどん近づいてくる。
「あの...な、なんですか?」
「いや、別に?なんか面白そうな男がいるなーって思ってw何?押し付けられちゃったわけ?」
「いや...まぁ...べ、別に...大丈夫なので」
「大丈夫wへぇ~、大丈夫なんだwウケるwまぁ、本人がそういうなら仕方ないっかw」というと、階段の上まで登り、そこで座りこちらをじっと見ている。
やばい人に絡まれた...。さっさと済ませて帰ろう。
いつもより急ぎのぺースで掃き掃除を済ませて、ごみを集めて捨てに行き、ごみ箱をもとの位置に戻して終了する。
「あれっ~?もう終わり?ゴミ、残ってるけどw」と、彼女は手に持ったレシート的なものを床に落とす。
「ほら、落ちてる」
「...」
何が目的なのだろう...。やめてほしい、関わらないでほしい。
「あっはwいやぁwお姉さまが本気で惚れた男っていうのを聞いて気になっちゃってさぁ~wてか、私にはわかりそうにないかな~。あんたみたいなもやし男のどこがいいかなんてさw」
お姉さま...?もしかして...鈴野さんの知り合い...?
よくわからないがペコリと頭を下げてからその場を後にする。
当然、あのゴミはスルーである。
しかし、そんな様子を見て、当たり前のように後ろをついてくる彼女...。
今日は鈴野さんとも堰代ちゃんとも予定のない、空き日であったため、まっすぐ家に帰ろうと思ってたのに...。
どこまで行っても一定の距離を保ちながらついてくるので、ある場所で小道に入り、右に左に曲がりながら撒こうとするが一向に負ける気配がない...。
まるで俺がどこにいるかをわかっているみたいに...。
「逃げても無駄だよーwGPSを鞄に仕込んだからね~」と言いながら、後ろから現れる。
「...あの...何の用ですか?」
「用は言ったでしょ?あのお姉さまが本気で惚れる相手はどんなもんかを見たかったから。察しの通りお姉さまとは鈴野姉ちゃんのことだよ?」
「...どういう関係ですか?」
「従妹ってやつ。てか、そんなのきいてどうするの?」
「...いや...あの...すみません...着いてきてほしくないんですが」
「無理~。まぁ、条件を飲んでくれるなら考えるけど」
「条件...?」
「うちと付き合うこと。まぁ、別にセフレでもいいけど」
「...はい?」
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