第3話 四者遭遇

「え?え?どういうこと?」と、俺が呟く。


「いや...それはこっちのセリフっていうか...」と、弟が焦る。


「あなたも...そうなの?」と、シーラさんが疑問を呈す。


「え?え?え?え?」と、堰代ちゃんが困惑する。


 いったい何が起きているのか、全員が困惑し混乱してしまった。


「いや...その...シーラさんにも同じこと言われて...」


「え?どういうこと?兄貴も...別れたってこと?そして...兄ちゃんに...告白したってこと?もう...付き合ってるの?」


「そ、そういうことだよね...さっき...そっちの部屋から...そういう声聞こえてきたし...」


「いや!あれは映画だから!つ、付き合ってないから...」


「つまり...弟くんの彼女さんも...ってことよね」


「...はい」


 困惑しながらもお互いに何となく状況を理解した。

理解したうえでやっぱり困惑する。


「...どういうこと?」


 そうして、沈黙の時間が流れる。


 だが、弟が切り出す。


「...兄ちゃんは...どっちがタイプなの?」


「...いや...タイプとかはわかんないけど...話したこともほとんどないし...」


「...そうだよね」


「じゃ。...その...順番に会うってことでどうかしら?明日は...私...明後日は...あなたみたいな」と、シーラさんが提案してくる。


 それ...結構負担じゃね?とはちょっと思った。


 そもそも、どっちも兄弟の元カノだぞ?そんな目で見れないっていうか...。

でもそんなこと言ったら、今こうして二人で会っていたことの説明がつかない。


「...わかりました。私はいいです」と、堰代ちゃんは同意する。


 あとは俺次第なのだが...いやいや...どうするんよ...?


 頭がよくて、美人で、理知的なシーラさん。


 純粋で、かわいくて、天真爛漫な堰代ちゃん。


 いや...選べないっていうか...どう考えても俺より兄弟二人のほうがいいと思うんだけど...。


 そのまま、今日は三人で遊ぶ流れになり、俺の部屋で兄貴の元カノと弟の元カノに挟まれる。


「...さっきの声は本当に映画だったんですね」


「うん...じゃあ...どうしましょうか...」


 そもそも現状でいっぱいいっぱいの状況であり、もうすべてを放り投げて眠りたい気分なのだが...。


 すると、シーラさんが少しこちらに近づいてくる。


「...もし、私が...彼女になったら...その...勉強も教えてあげられるし...その...色々とメリットはあると思うの...」と、見上げながら言ってくる。



【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093084797075459


 すると、堰代ちゃんはさらに近づいてくる。


「わ、私と付き合ったら...!す、すごく楽しいと思います!その...!きっと...楽しませされる...し...!映画とかも...勉強するので...!」と、俯きながら言ってくる。



【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093084797130460


「す、ストップ!その...なんで俺...なの?自分で言うのもあれだけど...俺の兄弟二人とも優秀で...俺は何の取柄もない落ちこぼれなのに...なんで...」


「「一目ぼれ」です」と、言われてしまう。


「...私は最初あったときに...すごく胸がどきどきして...その...確かにれんのことも好きだったけど...そういうレベルじゃなかったの。運命の出会いだって思った。だから...たまに漣がいないのわかってて...家に来たり...。ダメだってわかってたけど...話したくて...。けど、それは漣にも失礼だと思ったからちゃんと別れたの」


「わ、私だってそうです!お兄さん...私にすごく優しくしてくれて...。お茶とか持ってきてくれたり...お菓子おすそ分けしてくれたり...!私もダメだってわかってるのに...好きになっちゃって...。だから!...」


 ...なんだこれ。空前のモテ期というやつなのか...?

けど、兄弟の気持ちを考えれば...そんなのはやっぱり...。


 それからも二人から色々と強烈なアピールをされたのだが...なんとかその日を乗り切ることができたのだった。


 しかし、二人とは連絡先を交換し...現在はたくさんの連絡が届いていた...。


 どうしたもんか...。

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