絶望への道
次の日もいつものように学校へ行くと後ろから肩をトントンされた。
「ねえ。西くんこの記事見た?」
僕には聞き覚えのない声が僕の耳に侵入してきた。その声の主はクラスをいつも仕切っている新潟さんだった。
新潟さんから提示された記事には
過去に誘拐の前科を持つ男が自宅のクローゼットで死亡。警察は 東 葉月(35)を容疑者として逮捕。
2024年5月15日午後9:30頃男の家から異臭がすると警察に通報があり駆けつけたところクローゼット内で腕を縛られて首を吊った状態の 大里 重 (37)が発見された。
周囲の防犯カメラ映像から過去に大里が起こした誘拐事件の被害者である 東 葉月が被疑者として浮かび上がりその後逮捕に至った。
その後も殺事件について詳細が記述されてあった。
「これがどうかしたの?」
新潟さんの目をしっかり見て強く答えた。
「気づかない?この 東 葉月さんアキくんのお母さんなんだって。昨日アキくんの家から警察に連れて行かれる葉月さんを神林が見たって。アキくん大丈夫とかな?」
聞きたくなかったその言葉を聞いて僕はビリビリと震え上がった。愛生に対する不安と心配それから愛生が最悪な選択をしないかどうかが気になってしまい気がついた時には走り出していた。行かなくちゃ。そう強く思った。1度しか行ったことのない愛生の家まで走った。もう周りが見えなくて疲れていることさえ気が付かずに灼熱の世界を誰よりも駆け抜けた。
ピンポーンピンポーン
こんな時なのにチャイムだけは優雅になった。愛生の家は綺麗な一軒家で美しい緑たちも飾ってあった。
「愛生!大丈夫と?僕でいいなら話聞くけん!!」
玄関の前で叫んだ。これまで生きてきた中で一番大きな声を出せた気がする。玄関の内側からか細い声が返ってきた。その声は本当に小さくて細くて愛生の声だとは思えなかった。
「帰って。」
それだけだった。だがここで帰られるわけがない僕はまた叫んでしまった。
「わかった。学校に行った時全部話すから。今日はもう。。」
玄関の内側から怒りと悲しみとさまざまな感情が渦巻く震える声を聴いて僕は何も言えずに学校へ戻った。
学校へ戻ると先生たちにキツく叱られた。そして大木先生から愛生の話を聞かされた。あの事件の犯人はやはり秋の母だった。この騒動から愛生は学校に来なくなった。
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