歌に乗せて
あれから五年後――。
私は通信制の高校を卒業後、上京した。上京前、最後のレッスン終わり「今までありがとうございました」と頭を下げる。そんな私に先生がかけてくれた言葉は「こちらこそ、ありがとう。応援してるから頑張ってね」という短いものだった。別に期待していたわけではないけど、あっさりと終わってしまった関係に寂しく感じる。それから先生とは一切の連絡を取っていない。今でも連絡を取り合っているのは千弦や雄介たち、
そして……。
ちょっと遅すぎたかもしれないけど、ようやく伝える時がきた。
目の前のパソコン画面に向かって呟く。
「この歌が届けばいいな……」
「『青い春/yoko』
私の青い春 歌に乗せて届けるよ
初めまして 高鳴る胸の鼓動
一瞬 それで
あなたに恋をした
弾む会話に溺れていく
ふとした仕草に赤らんでいく
過ぎていく時間が戻らないかな
届け 届け
この若い甘い青い春よ
桜の花びらに乗って
緑の葉に変わって
あなたの元へ いま
届け 届け 届いてほしいの
ブレスレット つけた腕を見つめる
一瞬 それで十分
勇気がもらえる
遠く離れても残っている
記憶の中で笑っている
過ぎてしまった時間に恋してる
届け 届け
この長い淡い青い春よ
すすきの穂をかすめて
冬の雪に乗せられて
あなたの元へ いま
届け 届け 届くといいな
春夏秋冬 季節を巡り
遠まわりした 私の青い春
歌に乗せて届けるよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます