私貴-僕の日常

青年は「オイ、桜花」

と言ってくるので

「何だい?」と軽く聞き返す

青年は同じ調子で「サッカー部入ってくんない?」

僕は「悪い、先約」

そう言って駆け出すと

青年は「は?」 と少し不満な様子

僕は「待たせてるから」

「ちょ、待てよ」

「じゃあな」

そう言って僕が見えなくなった時に

「アイツにドンナコトシテヤロウカ」

と人の気配が見えなくなった青年を

僕は知るよしもなかった。

僕は絵を描いている

そうすると女が準備室から出てきて

「ヘイ、ガイ」

と言ってくるので僕は

「・・・」と無視一択

女は

「ちょっと乗り悪いよ。ほらほらテンション上げて」 煩いので「・・・・」とスルー

女は痺れを切らしたのか「こんばんは」と一言

僕は「え?おはようございます紫先生。って今は朝ですよ」

「まあ良いじゃないか。楽だし」

と飄々と答える女

「止めてください恥ずかしい」

「少年」

「え?」

女はスルリと手を伸ばし

「なーに、描―いてるのーかな?」

「ダメ」 と言うが時遅く女が紙取り上げる

そして一声「ワオ」

僕は「引きましたか?」とおずおず聞いてみると意外にも

「いいや、少し意外だった」

「何で」

「君くらいだよ。ほら未知為る描くのは。前回描いてた鳥嫌いになっちゃった?」

僕はむきになって

「何でも良いでしょう」と叫んでしまった。

女は一呼吸おいて一言。

「何でもないんだったら仕方ない。ほら、ピカソも色々変わってたりするし」

「<ほら、ピカソも色々変わってたりするし>って乗りが!乗りが可笑しいでしょうが!!!」

「え、ダメ(泣)」

「ダメですよ」

「ダメ…ッチ」

「大人なんだから、ふてくしないでくださいよ…何ですかそれ」

女はここにきてからズット毛を弄ってた

「見て分からないカツラ」

「は、はぁ」

女は咳払いをすると「ほら人と会うときはかっこよく居たいでしょ」 とドヤッてきたので

「まぁ・・・」

さらに女は「ねぇ。君さ人の血入った絵よく描いてるのかい?それとも・・・」

被せて僕は「この人自由すぎる」

「私も昔ね」と言ってきたので僕は

「嘘だ」と言い放った

女は「人が嫌いになったとき、自分が嫌になったとき、なおかつ何もする気がなくなったとき」     「いや、元気に何言ってるんですか。人生もう止めてるじゃないですか」

「へ?人生全部が嫌になるのも良いじゃないか」

僕はますます分からなくなって「は、どういう事だよ」 少年のセリフに被せてチャイム音が轟く

「おやもう帰宅、違うな授業じゃないか」

でも、僕は正直「まだ行きたくない」

そう言うと女は「そうか。じゃあ私と一緒に人間没落について語ろうか」

「いえ失礼します」

女は僕が部屋から出たことを見届けると

「気が引けるけど、私もそろそろ仕事しないとね」

と一言手袋付けながら物が壊れる音が部屋に響いた

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