私貴-図書室
私は教科書類を広げつつ本を読んでいると男の手が何処からか出てきた
「やあ、こんばんはと言うか初めまして」
と言うので私は当然だろうと言わんばかりに
「・・・(顔を上げるが、無視)」
男は「何か一つ返してくれても良いじゃない?」
と言ってくるので
「・おはようございます。月下先生・・・」
と一言哀れみの言葉をかけてやった。
男は急に私を「姫」と呼んできたので
私はとっさに「え?」
と間抜けな声を出してしまった。
男は私に向かって「文豪の姫」と言ってくるので
「どゆこと?」としか言いようがなかった。
男は「いつも読んでるでしょ。それ」
と言うものだから「ハアまあ」
としか言いようがなく
男は慣れた手付きで「何読でるの?」と言いながら
ヒョイっと私の手の中にあるものを抜き取った。
「あ!ちょいと💢」
「フーン《恥の多い生涯を送ってきました私には人間の生活というものが見当つかないのです》人間失格か」
と一文読み終わったので
私は皮肉にも「面白いと思いません?」
と問いただした。
しかし、男は「これ、重くない?社会問題の塊でしょ。それも、虐待酒薬のオンパレード」と言うのものだから
私は敢えて素直に「だから面白いんじゃないですか」 男は「まあ、私も読んでいたのだけど。話変わってもう一個」
「まだ何かあるんですか?」
男は声音を変えて「君さ死ぬときに何考えると思う?」
「は?意味分かりませんけど」
「ほら人それぞれ考える事在るんじゃないか」
「うん。幸福であった事、地獄であった事が一般の答えでしょうが、たぶん私は、、、」
男は目をキラキラさせてくるものだから
「いや、止めときます。これ以上言うと先生がぶっ壊れそうなので」
「えぇどうせなら壊してくれよ」
「えぇじゃないですよ。このドM」
「イヤーン、そういえば君いつも来てるよね」
「何で知って…」
私の言葉に被せチャイム音が鳴り響く。
「おやもう次の授業、いや違うね帰る時間ではないかな?」
「あ、もうそんな時間か」
男は一言
「君頑張るね。何かあったら力になるよ」
私は「はぁ、さよなら」と生返事で返し
男も「さよなら」と静かに言った
「此処まで話したのは何時ぶりだろうな」
彼はカラクリの中に吸い込まれた
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