放課後の足音

放課後、私たち3人は、いつものように教室の掃除をしていた。もうすっかり日が落ち、校舎は静まり返っていた。掃き掃除を終えた頃、突然、下の階から女性の悲鳴が響いた。私たちは驚いて顔を見合わせた。


「今の、何…?」と、友達の亜美が恐る恐る呟いた。


次の瞬間、ドン、ドン、と重々しい足音が階段を上がってくる音が聞こえてきた。その足音に続いて、低いうなり声が廊下に響き渡った。


「隠れよう!」私は咄嗟に声を上げ、3人は急いで隠れる場所を探した。


亜美はテレビの後ろに滑り込み、真奈美は教室の一番遠い机の下に身を潜めた。私は、掃除ロッカーの中に入るしかなかった。狭い空間の中で心臓の鼓動が早まるのを感じながら、私は息を潜めた。


足音が教室の前で止まった。教室のドアがギシギシと音を立てて開く。その瞬間、教室全体に漂う不穏な空気が一気に濃くなった。私はロッカーの中で、体が硬直していくのを感じた。何かが教室の中に入ってきた。重い足音と低いうなり声は、明らかに人間ではない何かだった。


ロッカーの隙間から覗こうとしたが、体が動かない。代わりに、私はただ耳を澄ませてその足音の動きを追った。テレビの方へ足音が近づいていくのがわかった。


「お願い…亜美、見つからないで…」


心の中で祈った。足音がテレビの前で止まった。そして、一瞬、静寂が訪れた。その瞬間、足音は急に引き返し、今度は教室の奥へと向かっていく。足音は次に机の下に隠れている真奈美の方へ向かっていた。


「だめだ、真奈美が見つかる!」と心の中で叫んだが、何もできない。


だが、足音はまた急に方向を変え、私の隠れている掃除ロッカーの前で止まった。私は息を飲み、目を閉じた。うなり声が近くで響き、ドアの前で何かが動く気配を感じた。


ガチャッ――ロッカーのドアが突然開いた。


目の前に現れたのは、背の高い影。その顔は歪んだ笑みを浮かべ、血走った目が私をじっと見つめていた。私は声を出そうとしたが、喉が凍りついてしまい、何も言えなかった。その影がゆっくりと手を伸ばしてきた。


「いや…助けて…」


その瞬間、私の視界は暗闇に包まれた。



---


翌朝、学校では奇妙な噂が広がっていた。放課後に失踪した女子高生3人のことだ。教室には3人の姿は無く、ただ掃除道具が散らばっているだけだった。誰もその後、彼女たちを見た者はいないという。


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