青に溶けていく

功琉偉つばさ @WGS所属

あお

 この世界には沢山の青がある。


 空の青、海の青、草木のだって青色だし、暗闇で見える星や、電灯も青色のものがある。


 澄んだ青を見ると吸い込まれていくような気がする。深い海を覗き込むとどこまでもどこまでも吸い込まれていきそうな青がある。


 どこまでも高い空を見上げると、宇宙まで見通せそうな深い青がある。


 夜空にも沢山の星たちからなる暗めの、それでも深い青がある。


 緑が茂っている草原も、青々としている木々の緑も、じっと見ていればどんどん吸い込まれていきそうな気になる。


 そういうきれいな青を見ると青に溶けてしまいそうな気分になる。


 どんな自分でも受け入れてくれそうな深い青。どこまででも行くことが出来そうな深い青。そんな青に溶けてしまいたい。


 ある日、青に溶けてしまいたくてどこまでもどこまでも海をずっと泳いでいった。下を見ても青。上を見ても青。前を見ても、後ろを見ても青。


 でも、どこも同じ青はない。どこを見ても青。どの青もその深みや色合いが違う。


 ああ、青に溶けてしまいたい。どこまでも深く、深く沈んで行きたい。上でも、下でも、前でも、後ろでも、すべての青に溶けてしまいたい。 


 そして包まれてしまいたい。青にすべてを委ねてしまいたい。


 なぜこんなにも青は深いのか。

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