責任屋

瀬戸 祥

責任屋

 「またかよ、」

 内心、毒づきながらそんなことを口に出してしまった。

 俺、野山裕太のやまゆうたは絶賛就活中ではあるが、何故かどの会社からも内定をもらうことができていない。

 いや、理由などわかりきっている。この性格だ。

 最初の方はなんとか隠すことができてはいたが、自分では内定するのが難しいであろう会社を受けているのが良くなかった。

 

「高望みした会社に入って挫折を味わうよりも、今のほうがよっぽど良い」

 なんて、自分を正当化させていたが、自分をしっかり見れていなかった。

 結局、その後も10は超えるほどの会社に行ったが、最後の方は

 「どうせ、落とすんだろ」

 なんて思っていた。

 

 そんなことも相まって、今は住宅街をブラブラして、1日を過ごしている。 

 「何でも良いから、仕事が欲しい!」

 と思いながら、モヤモヤとした気持ちを抱えて歩いていると、いつもは住宅と住宅に挟まれているはずのところに、道路が続いていた。

 「なんだ、この道?」

 小さい頃から、この付近に住んでいるが、見たことのない道だった。

 とても怪しくは感じたが、その反面、見たことのない道に惹かれていた。

 「どうせ、意味のない人生だ。何かあっても別にいい。」

 そう思って、その道を突き進むと、


責任屋せきにんや

 という、看板が屋根に乗った、建物がでてきた。

 「どういうことだ?こんな建物、見たことねぇぞ」

 すると、その家から怪しい人物がでてきて満面の笑みを浮かべながらこう言った。

 「あなたはどんなから逃れたいですか?」

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

責任屋 瀬戸 祥 @seto_sho_0323

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ