女友達を縛っておもらしさせちゃう話
「ね〜、あのマチアプ、どうだったー? 」
大学のカフェテリアで向かいに座る女友だち、
「あぁ、『性癖マッチングアプリ』ね。うん、まあ、マッチングはできたよ…… 」
友人の口から「ハハハ」とあざけるような笑いが漏れた。マッチングができたというプラスの事象には似つかわしくない反応だ。
「…… もしかして、変な人とマッチングしちゃったー? 」
心配になって友達に聞く。彼女に『性癖マッチングアプリ』を勧めたのは私だ。元々は変わった性癖の彼女に相性ピッタリの恋人でもできればもっと笑顔が増えると思ってたけど、それで彼女が傷ついたのなら私の責任だ。
「あっ、違うよ! なんか、ちょっと…… そう! すっごくアホな人なの! 」
アホ? 何を言っているのだろう? 困惑した私は「アホー? 」と友だちのセリフをオウム返しにした。それを受けた彼女は堰を切ったように話しだした。
「いや、こないださ! 一緒にお昼食べたときにパクチーのこと『雑草』とか言ってクレーム入れようとしたんだよ! あと水族館に行ったときは熱帯魚の名前でずっとはしゃいでるし…… 帰りの車の中でもずっと『ポルカドット・スティングレイって必殺技みたい』ってはしゃいでるんだよ!? それが許されるのは中学二年生までじゃない?! あの人もう四十二歳なんだよ! ねぇ!! 」
友だちはハァハァと肩で息をしながらすごい剣幕で聞いてくる。言いたいことはいっぱいあったけど、とりあえず一番言いたいことだけ言うとしよう。
「うん、すっごく仲良しなのはわかったよー」
友だちは「ちがッ…… 」と言って顔を反らした。一体どこが違うんだろう? お昼を一緒に食べて、水族館に行って、くだらないことで言い争いして…… それは一番楽しい時期のカップルじゃん。しかも相手は四十二歳とか。もう親子じゃん。さっきまで心配していた友だちが実はめちゃくちゃ幸せだったことにショックを受け、私は机に突っ伏した。
「ちょ、どうしたの? 」
「えー、いーなーっておもってさー。私は全然うまくいってないからー」
人目もはばからず「あ〜」と声を上げる。今の私はそれくらいうまくいっていないのだ。
「でも、たしか同じアプリでマッチングしてたでしょ? その人と別れちゃったとか? 」
「ん〜、一緒にはいるけど欲求不満ー」
私は『可愛い男の子を縛りたい』という性癖にマッチした男の子と出会った。まあ出会った男の子が実の弟だったりしたけど重要なのはそこじゃない。私は会ったその日に弟を縛ってあげたり、そのまま浴槽の中にに転がしてあげたり、トイレに行きたいという要求を無視しておもらしさせたり、いろんなことをしてあげた。弟が気持ちよさそうな顔でおもらししたのをみた瞬間私は縛り上げた男の子をおもらしさせる快感に目覚めてしまい、もう普通の縛りプレイでは満足できなくなってしまったのだ。
なので、私はスキあらば弟を縛っておもらしさせようとしているのだが、彼はおもらしが嫌らしく、緊縛プレイの前には必ずトイレに行くようになった。他にも『縛り終わってからからほどくまでは三時間以内』というルールまで作られてしまった。「ルール守んないともう縛られてやんないからな! 」と言われては弟大好きな私としてはルールを守るしかない。
でももう私は可愛い男の子を縛るだけでは満足できない。縛りとおもらしがセットになって初めて私の欲求は満たされる。でも、縛られておもらししても大丈夫なんて都合の人はその辺にはいない。 私の不満はつのるばかりだ。
「ふ〜ん、そんな感じね〜。そういえば私も会うだけで全くプレイしてないわ。まずあんまりアイツとしたくないし…… 」
友人は苦笑する。あんなに仲良しでもプレイは出来てないんだ。まあ『オシッコを我慢しているところを見てほしい』っていう性癖だとちょっと難しいかもね。限界を見誤るとおもらししちゃうわけだし……
(ん? おもらし? )
自分で自分に問い直す。今、自分はおもらしと言っただろうか? それは私が望んでいること。そして眼の前で苦笑している友だちはそのおもらしをする可能性が高い。次の瞬間、私の中の悪魔が完璧な計画を私に授けてくれた。私は悪魔の言いなりになって友だちに言葉をかけた。
「ねーねー、安波ってさー。オシッコ我慢してるとこを見られてればいいんだよねー? 」
「? うん、そうだけど…… あの、あんま人いるとこでそれ言わないでくれる? 」
「あ、ゴメーン。でさ、その見る人って私でもいいわけー? 」
「うん、別に構わないけど…… 」
友だちは私が何を言いたいかわかっていないようだ。私はちょっと頭の弱い彼女でもわかるようになるべくストレートに言った。
「じゃさ、私が安波がオシッコ我慢してるの見てあげるー。その代わりに安波のこと縛らせてよー」
「…… え? はぁ!? 何? え、どういうこと? 」
わかりやすくパニクってる。可愛い。
「だーかーらー、オシッコを我慢してる安波を私が縛るのー。こうすれば二人の欲求不満が一気に解消できるでしょー? 」
自分で言うのも何だがかなりいい案だと思う。でも、友だちは迷っているみたいだ。
「えぇ…… でも、私、縛られるのは…… 」
「おねがーい。一回だけでいいからー」
友だちは眉間にシワを寄せ、腕を組んでいる。そんなに悩むことかな? やっぱ縛られるのに抵抗あるのかぁ。最初さえ乗り越えちゃえば楽しいのに…… しばらくして答えが出たようで友人はおずおずと答えた。
「…… うん。やろ。でも、縛るのは今回だけだから…… 」
「やりー、ありがとー。じゃさ、どこでやる? うちは弟がいるからムズいかなー」
「そうだね、お姉ちゃんが友だち縛ってるところなんて見せられないもんね」
友だちはフフッと笑った。たしかにそうだ。弟に私が人を縛っているところを見られたら間違いなく嫉妬されてしまう。おもらしさせちゃったあとも、縛ってって要求してくるような子だし、きっと私が他の人を縛るのをよく思わないだろう。もう独占欲が強くて可愛いんだから。……っと、今は眼の前の友だちだ。私は弟から友だちに思考を戻して話を続けた。
「じゃあ、高いけどホテルにしよっかー」
「あ、それなら私の家でやろ。お父さん、飲み会で今日は帰れないかもって言ってたし。女子二人だと部屋貸してくれるかわかんないし」
「お、いいねー。じゃあ私は道具を取りに帰るから、今日の十八時に安波の家で集合ねー」
「おっけー、待ってるよ」
よし、計画通りだ。あとは友だちを縛り上げて、前みたいにトイレに行かせないようにするだけ。彼女には申し訳ないけど、あのときのゾクゾクをもう一度味わうためだ。私はこの日、自分の欲求のために友だちを生贄に差し出した。
◆
「おじゃましまーす」
十八時ちょうど。当初の予定通り、私は友人の家に来ていた。手に持った大きめのカバンの中にはナイロン製のロープやらタオルやら緊縛プレイに使うグッズがいっぱい入っている。最近は二リットルのお茶も仲間に加わり、拘束おもらしをより再現しやすくしている。
「お疲れー。待ってたよー」
友だちはニコニコ笑顔で迎え入れてくれた。可愛いなぁ。この子をこれから縛っておもらしさせちゃう思うとそれだけでとろけてしまいそうだ。
「
「あ、何でもないよー。えっと、どこでやるー? リビングだと、万一お父さんが帰ってきたときやばいよねー」
どうやら感情が表情に反映されていたらしい。私は邪な考えをさとられないように無理やり話題を変えた。友だちの顔にははてなが浮かんでいたが特に追求はなく、話題はプレイの場所へと移った。
「うーん、だったらお風呂場は? あそこならアイツも入ってこれないだろうし…… 」
「お父さんが来ない場所なら安波の部屋でもよくなーい? 」
「いや、アイツ、私の部屋に勝手に入ってくるの。そういうところホント嫌い」
友人は吐き捨てるように言った。顔からは怒りと憎悪がこれでもかと漏れ出している。お父さんのこと、そんなに嫌いなんだ…… こうなったらもうほかに選択肢はない。まあ、おもらしさせちゃったときの処理が楽だから私としては好都合なんだけどね。
「じゃあ、お風呂場行こっかー」
「あ、ちょっと待って。飲み物飲んでくるから」
そういって友だちはトテテとリビングの方へ消えた。飲み物というのは多分オシッコがしたくなるようにするための飲み物だろう。
友だちは利尿剤に頼るのが好きではないらしく、オシッコを我慢するときは大量のお茶を飲む。曰く「利尿剤だと一気にオシッコしたくなっちゃうから、我慢が楽しめないんだよね…… 」とのことだ。うーむ、よくわからん。
「おまたせー、お風呂場行こ」
友だちは三十秒も経たずに戻ってきた。どれくらい飲んだのかわからないが、早いペースで飲んだことは間違いない。そんなに一気に飲み物を飲んで大丈夫だろうか? 縛っている途中で我慢しきれずおもらしされては寝覚めが悪い。まあ、それはそれで可愛いんだけど……
◆
「じゃ、縛るねー。まずは両手を後ろに組んで、あぐらで座ってー」
「うん。優しく縛ってね」
友だちは私の指示通り、両手を後ろに組んで、お風呂場にあぐらで座っている。私は従順な友だちの手足に縄をくるくる巻き付けて、最後にキュッと縛った。縛ったとき、友だちが「…… ん」と色っぽい声を上げた。その声が聞けただけでも、私は目的は二割ほど達成されたと言ってもいい。
「はい、おしまい。あぐら縛りだよー。どーお? 」
「どうって…… これ、全く動けないんだけど…… 」
「ま、そういう縛り方だからねー」
友だちは座ったまま、体を前後左右に揺らしている。もちろんそれでほどけてしまうほどゆるい拘束ではない。
(うん、すっごく可愛いー。たまにバランスを崩して倒れそうになる姿なんてもう最高…… 服もいつも通りかわゆいしー)
友だちの服装もシチュエーションを盛り上げるのに一役買っていた。友だちはレースや黒いリボンがあちこちに付いたブルーグレーのブラウスに、黒のショートスカート、城のレール付きショートソックスという地雷系コーデだ。メイクもバッチリしてて、髪型は明るめの茶髪ボブにエクステをつけてアレンジしており、パット見はちょっと近寄りがたい。そんな強気な姿の子を縛るのはやっぱりいい。全部を支配した感じがして胸がすく思いだ。それにショートスカートにあぐらというのも良い。なぜなら……
「ねぇ美紐、これ、下着見えちゃうんだけど…… 」
そうなのだ。ミニスカートであぐらになるとパンツが丸見えになるのだ。同性の下着など興味がないのだが、今回は見えていたほうが羞恥心を煽れると思ってこの縛り方にした。友だちは縛られた足を動かしてなんとか隠そうとしているが全然隠れておらず、薄ピンク色のパンツが丸見えだ。
「そーだね。見えてるねー」
「いや、見えてるねじゃなくて。恥ずかしいんだけど…… 」
「うん、恥ずかしいねー」
「いやだからね? 」
不毛な会話が続く。どれだけ会話のラリーを繰り返しても結論は変わらなかった。私はパンツ丸見えの状態でいて欲しくて、友だちはパンツを見えないように縛り直して欲しい。相反する二人の要求を同時に満たす方法などない。そして私に譲る気持ちは微塵もない。友だちはそれを察したようで「はぁ…… 」とため息をつき、何も言わなくなった。今回の取引は私の勝ちのようだ。さて、縛りたいという私の欲求を満たしたあとは、友だちのおしっこを我慢している姿を見て欲しいという欲求を満たす番だ。
「じゃあ、次は安波の番だねー。しっかり見てあげるから、頑張ってオシッコを我慢するんだよー」
「え、あ、うん、ちゃんと、見ててね…… えっと、下着はあんまり見ないでね」
「りょーかーい」
私はニヤニヤしながら友だちを眺める。私の視線に気づいた友だちはポッと頬を赤らめた。ちょっと可愛いすぎる。持ち帰って弟と一緒に縛って飾りたい……
◆
「んっ…… ふぇ…… あっ…… はぁ」
お風呂場にエッチな息づかいがこだまする。息づかいの主は私の友だち。友だちはあお風呂場であぐらずわりのまま、両手両足を縛られ自由を封じられている。それだけでなく、友だちはここに来る一時間ほど前、紅茶を二リットル飲み干している。飲み干した紅茶は別の液体に姿を変えて友だちの下腹部にたまってきている。友だちはその液体が体の園に漏れ出さないように一生懸命だ。体を揺らしたり、ハァハァと荒い呼吸をしたり、グッと歯を食いしばったり、縛られている中でできる限りの抵抗を繰り返している。その姿は一生見ていられそうなものだったけど、この状態は永遠ではない。彼女が衝動をこらえきれなくなったら崩れてしまう。砂のお城みたいな儚い姿なのだ。
「ハァ…… ねぇ、今、どれくらい経った? 」
「えっとねー、もうすぐ約束してた一時間だよー。どうするー? もうトイレ行っちゃうー? それとも延長するー? 」
友だちは「う〜」と唸り声を上げた。きっと友だちの頭の中ではもうすぐにでもオシッコを出したい欲求ともっとオシッコを我慢している姿を見て欲しい欲求がぶつかり合っているのだろう。相反する欲求のどちらを取るか友だちは必死に考えている。しばらくして唸り声が止んで、友だちがボソッと呟いた。
「延長、して…… 後、十分くらい、我慢したいから…… 」
恥ずかしいのかオシッコのせいで口元まで力が回らないのかわからないが、友だちの声はとても弱々しかった。弱っていく友だちというのもなかなか乙なものだ。
「りょーかーい」
そう言って私は手元のスマホを操作してタイマーをスタートした。友だちは広角を少しだけ上げ「ありがと」と呟いた。それはどちらかというとこっちのセリフなんだけどね。だってもうすぐ友だちが縛られながらオシッコ漏らしちゃう姿が見られるのだから。
きっと友だちは「トイレに行きたい! 」と言えばすぐにトイレに行けると思っているだろう。でも拘束をほどくには最低でも十分は見てもらわないといけない。この十分というのも私が真面目にほどいた場合の時間だ。ほどく時間は私のさじ加減次第で十五分にで、一時間にでもできる。友だちは無邪気にも自分を縛っている縄が一瞬んで消え去ってくれると信じているようだ。じゃなければ限界が近づいている状態で十分の延長などしないはずだ。やっぱりこの子はちょっと頭が弱い。
というかチラチラ見えているパンツにポツポツとオシッコのシミが出来ている。もう我慢しきれずにオシッコが漏れ出しているのだ。その状態で我慢をするなど正気とは思えない。でも、限界を見誤ってくれたほうが自然な形でおもらしが見れるので私としては全然オッケーだ。
「…… ヒッ」
突然友人が悲鳴を上げた。どうしたのかと思い彼女の顔とパンツを見る。顔には「やってしまった…… 」とでもいいたげな表情が張り付いている。パンツの方はぐっしょり濡れていてさっきまでポツポツと点在していたシミがひとつの大きなシミになる。本当に限界なのだと旗から見てもわかる。本当ならここで無理矢理にでも我慢を止めるように進言するべきだろう。が、私は向こうが助けを求めるまでロープをほどく気はない。だってそうしないと友だちが満足できないかもしれないからね。私はニイッと口を歪ませ友だちの方を見た。
「ねぇ、もう、限界だから、ほどいて…… 」
友だちが瞳をうるませながら懇願してきた。口から出る言葉は相変わらず弱々しく言葉というよりはただの呼吸音といった感じだ。その姿があまりにも愛らしくて私は彼女にちょっとだけイジワルをしてしまった。
「え〜。まだ延長してから一分も経ってないよー? それでいいのー? 」
「…… いい。このままだと、漏れちゃう…… 」
(ん〜、すっごいそそる〜。漏れちゃうって言葉、最高ぉ…… )
耳から入った言葉が脳で処理されて全身に快楽物質を振りまいた。あぁ、今のセリフ、録音して毎日寝る前とかに聞きたかったなぁ……
「ねぇ聞いてる? 早くほどいてほしいんだけど…… 」
「あ、ごめんごめん。すぐほどくねー」
飛んでいた意識をこっちに戻してから、友人に巻かれたロープをほど来始めた。でも、素直にはほどかない。ちょっとだけもたついて時間を稼ぐ。あんなにたくさんチビった後だったらきっともう少しも我慢出来ないだろう。ちゃんとほどいてももう無理なのはわかってる。でも確実におもらししてもらうにはこうするしかないんだ。私は友だちに巻かれたロープに手をかけながらずっと笑っていた。
「…… あのさ、まだかかりそう? 」
焦れた友人が話しかけてくる。さっきから体をユラユラ揺れている。チラッとパンツを見るとさっきよりシミが大きくなっていた。そのシミも私が観ている間にどんどん広がってもうパンツはおもらししたときと同じくらいオシッコで濡れていた。
(あーやっぱ真面目にほどいても間に合わないかー)
勝手に友だちの限界を悟り、私はほどく手を止めた。手が止まった私に不信感を抱いたのか友だちが声を荒げた。
「ねぇ! さっきから私の話、聞いてるの?! 」
「あ、うん。聞いてるよー。いや〜、もうちょっとかなー。安波が動いちゃうから上手くほどけなくてねー」
苦し紛れの言い訳だ。たしかに友だちは尿意を紛らわすためにソワソワと休みなく動き続けている。でもそれが拘束解除の妨げになっているというのは真っ赤なウソ。本当は頑張っても頑張らなくてもおもらししちゃうんだからほどく気が亡くなっただけなのだ。
「うぐっ…… わかった。なるべく動かないようにするから…… 」
でも素直な友だちは私のウソを信じて大きく息を吸い直後に「ハムッ! 」と言ってほっぺをプクッと膨らませた。どうやら動かないために息を止めてくれたようだ。友だちが息を止めたおかげで彼女の体の揺れは小さくなっていた。が、私の心は大きく揺さぶられていた。
「ん。ありがとー、すぐほどくねー」
私はロープをほどく作業に戻る。目の前には一生懸命、呼吸とオシッコを我慢している友だちの可愛い顔がある。こんな必死な顔をされると勝手に諦めてしまった自分に罪悪感が出てくる。さっきまではおもらしさせようとしていたが、こんな可愛い子に望まないおもらしをさせるのはやっぱりダメだ。土壇場になって私は自分が間違っていたことに気づきロープとの格闘を開始した。
とはいえ、真面目にほどいたところでやっぱり時間はかかる。近くでむーむー言っている友だちの様子からあと数十秒も息を止めて我慢していられないことが読み取れた。せめて前を押さえてオシッコを我慢できるようにと思い、私は後ろで縛られていた手を自由にすることを優先した。
(グッ、これ、ほどけない…… 強く結びすぎた)
慌てているのもあり、ロープはなかなかほどけてくれない。友人の顔は赤から段々と青へと色を変える。息を止めていられる時間に限界が近づいているのだ。すぐにでも彼女を苦しさから開放してあげたい。その一心でロープをいじる。願いが通じたの友だちの手を縛り付けていたロープがハラリとほどけた。
「…… ! ほどけた! 安波、手ぇほどけたよ! 」
嬉しくて友人に声をかける。だが、あまり意味はなかったようだ。
「……プッハー、ハァ、ハァ」
友人が思いっ切り息を吐いた。限界まで息を止めていた友だちはハァハァと肩を上下させ全身全霊で肺に酸素を取り込んでいる。呼吸に意識が持っていかれたことで、友だちのオシッコのダムの決壊が始まった。
ブシャシャシャシャー
組んだ脚から見えるパンツにオシッコが染み込む。湧き出たオシッコはお風呂場の床、友人のスカート、私のくつ下を濡らしながらその面積を広げた。
「いや〜、オシッコ…… 出ちゃダメぇ」
友だちは自由になった両手で顔を覆った。オシッコが漏れていなかったらその手はまたに当てられて決壊までの時間をわずかに伸ばしてくれたかもしれない。でも完全に決壊が始まってしまったあとでは何の意味もない。もう少し早くほどけていれば…… そんな後悔が胸の中にジワッと広がった。
ショー、ジョ、ジョ……
気まずい沈黙の中で唯一の音源だった友だちの放尿音がピタッと止む。なんとなく観ちゃいけない気がして伏せていた顔を上げて友達の方を見た。目線の先には顔を両手で覆ったまま「あー…… 」と力なく声を漏らす友だちがいた。その姿がなんとも痛々しくて、私はすぐに声をかけた。
「安波ー? 大丈夫ー? 」
友だちは顔を覆っていた手をどけ「エヘヘ」と気の抜けた笑い声を上げてから答えた。
「…… うん、大丈夫。ごめんね、私、我慢できなかった」
オシッコを全部出しきった友だちは落ち込んだ調子で謝る。彼女の中では我慢しきれなかった自分が悪いことになっているのだろう。本当は私が悪いのに。私は友だちが我慢しきれないのを知っていたけど失敗するまで待った。私はもっと早くロープをほどけたのにわざともたつき、途中でほどくのをやめた。でも友だちはそのことを知らない。私の胸の奥からなんだかとてつもなく申し訳ない感情が湧き出した。
「ううん、安波のせいじゃないよー。私がもっと早くほどけてれば間に合ったんだし、私のミスだよー。ごめんねー」
「いやいや、私が限界見誤ってなければよかったんだしここは私が…… 」
「いやー、私のほうがー…… 」
暫くの間二人で終わりなき謝罪合戦を繰り広げた。そのうちになんだかおかしくなってきて、オシッコで濡れたまま二人で笑いあった。一通り笑ったあとで、私は友だちの脚に巻き付いていたロープもほどいて、友だちを自由にした。久方ぶりに自由になった友だちはスクッと立ち上がり、腕をグルグル回したり、ピョンピョンと跳ねたりして体の調子を確かめていた。一通り動き回ったあとで友だちはニコッとはにかんだ。
「じゃあ私シャワー浴びるわ。悪いんだけど着替え持ってきてくんない? 」
友だちの笑顔からはおもらしのショックは感じられない。思ったよりも傷ついていないみたいで良かった。私はホッと胸を撫で下ろした。
「おっけー、すっぴんでも似合いそうなカッコにしてあげんよー」
そう言い残して友人の服を用意するため私はお風呂場を出た。お風呂場を出たあとで私は今日あったことを思い出す。私の目的は達成された。ちゃんと友だちの拘束おもらしを見られた。でも、なんだか気持ちよくない。どうやらおもらしは人を傷つけることもあるようだ。友だちは優しいからまだ私と一緒にいてくれるけど私が欲望のままに何度もおもらしさせちゃったらきっと私から離れていってしまう。あの子と離れるのは嫌だ。でもおもらしさせたい。私の心の中で天使と悪魔がケンカを始めた。「無理やりおもらしさせちゃダメ! 」と叫ぶ天使。「事故に見せかければ何回だっておもらしさせてもいい」と囁く悪魔。どっちの声もとても耳障りだ。天使と悪魔のケンカをかき消すように私は心の中で大声を出した
(あーあ、縛ってもおもらししちゃっても私を嫌いにならなくて、超絶可愛い子、現れないかなー。年上の男の子だったら最高だねー)
あまりにも現実的な願望に「さすがに無理かー」と私は独り言を言って苦笑した。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
お読み頂きありがとうございます!
もしお気に召されましたら、ぜひぜひフォローや☆評価など頂けますとありがたいです<(_ _)>
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます