第9話 「葛藤」

学校に行きたくない。苦くて堪らない、カナタと1日中一緒に居たい。カナタに言ってみようかな?

「ねぇカナタぁ、もう学校行きたくない!苦くて苦くて堪らないのっ」

「そっか!じゃあずっと学校休もうか!俺が何とかするから大丈夫だよ!」

カナタはそう言ってアパートを出て行った。アパートから出るなって言われたけど、何をしようかな?駄目って言われてるけど、お料理位は大丈夫だよね?冷蔵庫には食材が沢山あった。野菜を切って、調味料を加えて炒めて。野菜炒めを作ってみた。作った物を食べて、帰りを待っているとカナタが帰って来た。

「桃果、料理したの?」

いつものカナタじゃない。苦い、嫌だ。

「俺言ったよね?家事はするなって!パンとかあったでしょ?!それで怪我したら!」

「ごめん、なさいカナタ、」

カナタは、はっと我に返ったのか私を泣きながら抱きしめた。

「ごめんっ、ごめん桃果っ」

甘い。いつものカナタだ。そういえば、何をしに行ったんだろ?

「カナタ、外に何しに行ってたの?」

「ん?色々やってたんだよ!桃果は知らなくても大丈夫な事だよ!」

「そうなんだ!」

カナタは私の頭を撫でると、お昼の準備をし始めた。私はソファーに座って、スマホを弄っていた。

「お昼ご飯出来たよ!」

テーブルの上には、カレーライスとサラダとフルーツ入りのヨーグルトが置いてあった。

「わぁ!美味しそう!頂きます!」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ご飯を食べ終わり、ニュースを見ていると、女子高生の失踪事件のニュースが報道されていた。

「┈次のニュースです。水無桃果さん17歳が行方不明になりました┈┈┈┈。」

私だ、私が行方不明?そっか、そういう事なんだ。カナタが私を行方不明にしてくれたんだ。もう苦くて堪らない外に行かなくてもいいんだね!嬉しい。嬉しい!ずっとカナタと一緒に居れるんだ!

「ずっと一緒だよ!カナタ!」

「ずっと一緒!桃果!」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

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