第3話 「罪の味」
あの後、蓮花ちゃんは私の所に来て何故置いて行ったんだとか色々言ってきた。本当に鬱陶しいし、出来ることなら関わりたくもない。誤魔化そうとしたが出来そうも無く、話題を変えるために仕方なくさっき言いかけていた事を聞いてみた。そうしたら
「あ〜あれ?ヘアケア何してるのかなって気になってさ!」
と言われた。カナタとの関係がバレたのかと焦ってしまった。もしもバレたら私は。
「桃果?どうかした?」
「あっ考え事しててさ!ごめんね蓮花ちゃん!」
「ふーん?で?ヘアケア何してるの?!」
面倒くさい、とりあえず適当に答えよう。
「ん〜、蜂蜜が入ってるヘアオイルと、ヘアミルク使ってるよ!」
蓮花ちゃんは笑顔になりながらスマホのメモアプリにメモをしていた。もしかして買おうとしてるのではないだろうか。
「あっりがと!桃果〜!」
気色悪い。早く終わりにしたい。
「ほらほら!授業行こ!」
私は強引に蓮花ちゃんを押しながら教室へ入った。
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「┈前回の復習になります。教科書を開いてください。┈┈┈┈」
授業は退屈で吐きそうになる。だから私は真面目なふりをする。ノートを広げ、書いているように見せている。実際はスマホで授業の内容を録音しており、それを帰ってきた後に要点だけ書き写している。
ふとカナタと初めて逢った時の事を思い出した。カナタは私が何もかもが嫌になった雨の日に私を見つけてお話を聞いてくれたんだっけ。私は初めてその日に甘さを知ったの。これは罪なの?罪なんかじゃないよね?そんな事を思い出している内に授業が終わっていたらしい。このまま淡々と他の授業をこなして行くしかない。
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やっと学校が終わった。帰らないと、飴も無くなってしまったし。
「水無?今いいか?」
古河だ。私は早く帰らないと行けないのに。何の用なんだろう?
「水無の家って、あのアパートじゃないんだろ?」
心臓の鼓動が早くなる、何故それを知ってるの?私以外誰も知らない筈なのに。なんで?
「古河、来てくれない?」
バレてしまった。許さない。苦い、吐きそうだ。なんとかしなくちゃ。私は古河を校舎裏に連れて行った。
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