第2話 「苦い渦」
朝、スマホのアラームで目が覚める。時刻は朝6時半、伸びをしながらベッドから起き上がるとカナタが朝ごはんを作ってくれている音がしていた。私の両親は私が幼い頃に亡くなり、親戚の家に最近まで預けられていたが、自立したいと言う私を引き留めようとする親戚の人の反対を押し切り、カナタと出逢うまでは一人暮らしをしていた。私自身もう高校2年生。ほぼほぼ家事が出来るようになって来てはいるのだが、何故かカナタに家事をするのを止められている。この前理由を聞いてみたら
「桃果?家事は危なくて危険な事が多いし、桃果に怪我して欲しくないんだ!ね?」
と言われてしまい、出来ずじまい。私、カナタの役に立ちたいのに!と、私がこんな事を考えている間に朝ごはんが出来上がった様で、カナタが私を呼びに来た。
「おはよう桃果!朝ごはん出来たよ!」
「おはよカナタ!ありがと!」
リビングに向かうと、テーブルの上には蜂蜜がかかったトーストとトマトスープ、サラダ。紅茶が置かれていた。いつもの朝、いつもの風景。
でも、朝ごはんを食べたら苦い学校に行かなければ行けない。
「どうかした?」
そう言ったカナタは私の事を心配そうに見つめていた。
「大丈夫だよ!ぼーっとしちゃって!早く食べちゃうね!」
と言って私は椅子に座って朝ごはんを食べ始めた、だけどカナタは少し心配そうにしていた。心配かけちゃったかな?そんな事を考えながら食べているといつの間にか食べ終わっていた。
「ご馳走様!」
私はそう言って自室へ戻った。制服に着替えて、髪を整えてセットして。甘い飴をバッグに入れる。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
行こう、苦い学校へ。甘い飴で苦さを誤魔化さないと行けない程酷くて、吐きそうになる外へ行こう。
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「桃果〜!おっはよ!」
校門をくぐると、いつも通り鬱陶しい蓮花ちゃんが私に話しかけてきた。
「おはよ!蓮花ちゃん!いつも通り元気だね!」
嘘の言葉を並べて話す。本当に鬱陶しい。いつか消してしまおうか、全て。そんな事を私が考えてるとは知らない蓮花ちゃんは口を開いた。
「いつも私は元気だからねっ!そして桃果は変わらずの青いサラサラストレートロングヘア!羨ましい〜あそうだ!桃果ってさ┈┈」
と蓮花ちゃんが言いかけた時、遮るように別の声が聞こえてきた。
「古守、水無。おはよう」
水無は私の苗字だ。そして目の前にいる此奴は、無口で無愛想な男。茶色の髪に黒い瞳、マッシュウルフヘア。古河新だ。
「うっわ〜!相変わらず無愛想だなぁ!もう!」
と、蓮花ちゃんが軽く叱っているのを横目に校舎へと向かった。
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