Track4 耳かきもしてあげます♡
(■トラック 4)
■効果音:布団を敷く音
▼位置:前【遠距離】
よいしょっと。
■効果音:ヒロインが一歩近づく足音
▼位置:前【中距離】
お耳のマッサージのついで、耳かきもしてあげますね。
このままの体制だと少しやりずらいので、ベッドの上に移動しましょう。
手足は縛ったままで申し訳ないですが、えへへ。
倒しますね。
■効果音:主人公をベッドに倒す音(手錠や足かせの音も)
……ゆっくり……、よし。
……上手にできました。先輩を押し倒すなんて、
ちょっとイケナイことをしてるみたいです。えへへ。
でもこーしないと耳かきできないですから仕方ないですね。うん。
下心はありません、私にあるのは真心だけですから。え、えへ。
先輩も最初みたいく抵抗せずにいてくれてよかったです。
やっぱり先輩は優しい人ですね。
その優しさをもっと自分に向けるべきだったんですよ、きっと。
だからこうなってます。こーして先輩を監禁するしかなくなってるんです。
なんて、とんだ責任転嫁ですね。
く、暗い話はここまでにしましょう。
今日は存分に先輩に癒しを感じてもらう日なんですから。
まぁ、はたから見ると癒しというか厭らしいというか嫌々といふうに見えちゃいますが、えへへ。
……冗談はさておき、耳かきをやっていきますね。
先輩の膝を私の頭に乗せてっと。
■効果音:ヒロインの膝に主人公の頭を乗せる音
▼位置:前【近距離】
ん、ちょっと重たいかもです。でもこの重さが先輩の重さだと思うと重くないです。
……ちょっと自分でも何を言ってるのかわからないです、えへへ。
と、顔が正面向いてると耳かきできませんね。
よいしょっと。
■効果音:頭を横にする動作音
▼位置:右耳【近距離】
これでよしです。
先輩の顔が見られないのは少しもったいないです。
って、そもそも目隠しして、口にタオル巻いてあるから先輩の顔、
ほとんど見れないのでセーフということにしときます。えへへ。
………。笑いごとじゃないですね、すみません。
お詫びとして耳かきしっかりやっていきますね。
まずは右耳の外側からなぞるようにやっていきます。
■効果音:耳かき 外側 右耳 開始
▼演技指示:耳かき中は囁き(無声音)
(吐息・10秒)
かりかり、かりかりかりかり。かりかりかりかり。
かり、かり、かりかりかりかり。かりかりかりかりかり。
どうですか? 痛くとかないですか?
……たぶん大丈夫でしょう。
もし痛かったら、教えてくださいね。身じろぎしてくれたら察しますから。
(吐息・10秒)
お耳のみぞをなぞるようにかきかき。
なんだか迷路をなぞってるみたいです。
私、昔から友達がいなかったので、迷路とか、一人遊びが得意なんです。
でも先輩のお耳はゴールがなさそうなので、やりごたえがないのが残念。
なんて、えへへ。冗談です。
(吐息・10秒)
さっきも言いましたが、先輩が傍にいてくれる。
それだけが今の私の幸せです。
先輩の幸せを願い、先輩から幸せをいただけている、
どうですか? 素敵な関係だと思いません?
……流石に独りよがりが過ぎますか?
でも独りよがりでもいいんです。これはエゴですから、
先輩が望んでいないことだってわかってます。
先輩の望みはわかってるつもりです、かつての私がそうであったように。
私にしかわからない先輩の望みと痛みがあるんです。
それでも今だけは先輩に幸せを感じさせたい。そしてこれから幸せになってもらいたい。
私の目的は最初からそれだけです。
(吐息・10秒)
■効果音:耳かき 外側 停止
……外側はこのくらいにしときましょう。
ゴールのない迷路は面白くないですから。なんて、えへへ。
次は奥の方をやっていきます。
最初みたいに暴れちゃダメ、ですから。
耳の奥は特に慎重にやらなきゃですから、先輩も協力してください。
何度もいいますが、私は先輩を傷つけたくありませんから、約束ですよ?
それじゃやっていきます。
■効果音:耳かき 奥側 開始
(吐息・10秒)
奥の方は、見えないですから、さっきより丁寧に……。
迷路感覚でいたら大変、ですから。ん。
(吐息・10秒)
かり、かり、かりかりかりかり。
かり、かりかり、かりかりかりかりかりかりかりかりかりかり。
……先輩のお耳、綺麗ですね。
もしかしたら耳かきなんて必要なかったかもです。
……でも世には耳かきが大好きな人もいるみたいなんです。
中毒レベルの人もいるとかいないとか……。
もしかして先輩も、ですか?
先輩、お耳弱いからちょっと疑っちゃいますね……えへへ。
(吐息・10秒)
先輩を拘束して監禁して、起きるまでの間、どうやって先輩を癒そうか考えてました。
手足を塞いで、目隠しもして、口にはタオルを加えさせながらどう癒せばいいのか、
調べていたんです。
結果、お耳関連の癒しばかり調べてまして。
お耳のマッサージや耳かきにたどり着いたわけです。
決して私が耳フェチってわけではありません。
どちらかというと筋肉の方が……じゅるり。
っとと、失礼しました。あやうくよだれが先輩のお耳に入るところでした。
集中しますね。
(吐息・10秒)
あ、ふふ。先輩、お耳がぴくってしましたよ。
もしかしてここが弱いんですか? 気持ちよかったんですか?
……えへへ、耳は雄弁に語るって言葉が今後、流行そうです。
そ・し・た・ら。ちょっとだけ先輩の気持ちいいところを重点的にやっていきますね。
私、気が使える後輩なんです、なんて、えへへ。
(吐息・10秒)
……どうだったですか? 先輩の弱いところばっかやってましたけど、
う~ん、最初の方はお耳ぴくぴくしてましたけど、
途中から反応がなくなっていた気がします。ちょっと面白くないですね。
やり過ぎると慣れてしまうんですかね?
どこかできいたことがあります。人間は慣れる生き物だと。
うぅ、世知辛いです。
仕方ありませんから、また普通の耳かきに戻ります。
あ、でもでも、もしかしたら、より気持ちいいところがあるかもです。
また新しい先輩の一面を知れると思うと、やる気が出て来ますね。えへへ。
(吐息・20秒)
……ふぅ、こっちのお耳はこのくらいにしておきましょう。
やり過ぎはよくないです。先輩を耳かき中毒者にするわけにはいきませんから。
うぅ、でも先輩の弱点がみつからなくて少ししょんぼりです。
反対のお耳こそは、先輩の弱点を発見してみせます。
あ、でもその前に~。
▼演技指示:耳吹き
ふぅ~~~~~~~~~~~~~。
■効果音:身じろぎ音
えへへ、お耳ふ~しちゃいました。
どうですかびっくりしましたか? サプライズってやつです。
気持ちよかったですか? 気持ちよかったですよね? 気持ちいいに決まってますよね。
ではもう一回。
ふぅ~~~~~~~~~~~~~。
ふふ♡ はい、おしまいです。先輩、お耳赤くなってますよ。
やっぱり先輩の弱点はお耳だったんですね。勉強になります。
満足もしたので、反対のお耳もやっていきます。
頭、動かしますよ~。
■効果音:頭の向きを反対にかえる音
▼位置:左耳【近距離】
……ふふ、くすぐったいです。先輩の髪の毛、女の子みたいです。
では、こっちのお耳も、外側からやっていきますね。
耳かき棒いれますよ~。
■効果音:耳かき 左耳 外側 開始
(吐息・10秒)
ふふ、こーして先輩を独り占めをしてると、
この世界に先輩と私しかいないような錯覚に陥りますね。
嬉しいような、恐れ多いような。
もしこの時間がずっと続くなら私はずっと幸せです。
(吐息・5秒)
ですが現実は刻一刻と秒針が進んでいきます。
時が止まる事はありえません。人が生きてる限りは。
それがどんなに辛くても。
前に進むしか人の道はないんです。
それをわかっていただけると後輩冥利につきます。
(吐息・10秒)
かりかり、かりかりかりかり。かりかりかりかり。
かり、かり、かりかりかりかり。かりかりかりかりかり。
耳の形って、左右違うんですね。
先輩のことは幾度となく見てきましたが、
流石に、耳の形までは把握できてませんでした。不覚です。
私はもっと先輩のことを知りたいです。
先輩のこと、先輩の身体、先輩の性格、先輩の悩み。
全てを知りたいんです。
ですが先輩は秘密主義なところもあって、表には出さずいることが多いですよね?
……心当たりがあるって顔してますよ?
まぁ顔は半分くらい見えてませんが、
先輩のことですから、きっと心当たる顔をしてますね。
苦悩も苦節も悔やんでることだって、先輩は誰にも見せません。
だから、ああいう選択を取ってしまったのですよね?
ダメですよ。先輩が傷つくのは耐えられません。
私は先輩の幸せ願っています。それは呪いと変わらないくらいには。
私の目が黒いうちは先輩を不幸にはしませんから。
そのおつもりで、です。えへへ。
(吐息・30秒)
……はい、外側おしまいです。
このまま奥側やっていきますね。
■効果音:耳かき 奥側 開始
(吐息・15秒)
……先輩、もしかして眠い感じですか?
すごく力が抜けてるような気がしますけど……。
それともリラックスしていただけるとかです?
……どちらでもいいですね。
リラックスして癒されてるなら、なによりですし、
もしただ眠いようであれば寝ていただいても大丈夫です。
寝てる間であれば、先輩に害をなす人はいませんから。
夢の中でゆっくり心を落ち着かせてください。
……ここから静かに耳かきをやっていきますから、
私の吐息と、耳かきの音、感触だけを感じてください。
(吐息・10秒×3パターンください)※ループ用
■編集さんへ:今までの吐息を使って90秒ほど耳かき音
先輩? 寝てますか~。……反応なしです。まるで屍のよう……。
なんだかシャレにならないです。反省。
(吐息・10秒)
寝てますよね? 寝てるってことにしときましょう。
(吐息・5秒)
ここから話すことはただの独り言です。
誰かに聴いて欲しいけど、やっぱり聴いて欲しくない私の過去の独り言。
あのですね、私はきっと親から愛されていなかったと思うんです。
あ、虐待を受けたとか、ネグレクトにあったわけじゃなくて、
最低限の親の役目は全うしてくれたと思います。
だけど、そこに愛情はありませんでした。
どうして親から愛情を受けなくなったのか、
実は私、小学生の頃に、事故で片目を失ったんです。
すぐに病院に運ばれて、そのあと両親が駆けつけてくれました。
ですが、両親は片目を失くした私の顔を見て、明らかに落胆した表情を見せたんです。
あの顔がずっと忘れられない。
私の顔――片方の瞳を見て両親の瞳から光が消えて、失望の影が宿りました。
小さい頃は気づかなかったけど、私の両親は完璧主義者だったんです。
完全なものを愛し、完璧なものに心酔するような親でした。
片目を失くし不完全になった私に興味がなくなったのだと思います。
退院するまで両親は一度たりともお見舞いには来てくれなかった。
それも辛かったですが、もっと辛いことがこの先に待ち受けていたんです。
片目を失ってから初の登校日。クラスのみんなの見る目が怖かった。
最初は物珍しさの目。日が経つにつれて、物珍しさが好奇に変わり、
私の瞳をからかう男の子が出てきたんです。
からかいが弄りに代わり、最後は虐めに姿を変えました。
教師も両親も助けてくれない。結局卒業するまで虐めがなくなることありませんでした。
中学生に上がれば収まると思っていたけど、そんなことはなく、
中学生でも人目がないところで虐められていた。
中学校生活の三年間は思い出したくもない地獄でした。
高校に進学をして、私はやっと安堵を覚えました。
わりかし勉強ができる方だったので、それなりの進学校に入学できたからです。
そこでは私のような人間に構う人はいない。誰もが自分の道を一生懸命だしたから。
気味の悪い私を遠巻きに眺めるだけ、直接的な虐めはなかった。
相変わらず一人だけど、今までに比べればだいぶマシです。
私の姿は誰の目にも映らない。
そう思いながら、高校生活を過ごしていました。
(吐息・5秒)
とある日。なんてこともない平日です。
いつものように学校へ向かいます。両親からの挨拶はない。
両親は数年前に生まれてきた妹のお世話にべったりでしたから。
高校へ向かうために最寄り駅のホームまで足を動かす。
いつもと同じ場所で電車を待つ。
そこでふと心から声が漏れたんです。
「疲れた」と。
両親の態度はあの事故から変わらないから慣れました。
高校生活も小学校や中学校の頃にくらべてマシです。
不幸ではないけど幸せじゃない。慢性的な日々。
だからこそ、張り詰めていた糸が切れたように、心が悲鳴を上げたたんだと思います。
私の心の声がまた聞こえます。
「一歩踏み出したらすべてが終わるのかな」って。
気づけば私は足を一歩前に踏み出していました。
死にたいと何度も思ったけど、ホントに死にたいわけじゃなかった。
けどもう遅い、心が身体に信号を出してしまったんです。
「まぁ、いいや。これで楽になれるなら」
そう思った時、急に腰に衝撃が走りました。
ぐわんと視界がブレて、また衝撃。
気づいたら私は地面に倒れていました。
どうやら誰かが私の腰に手を回して、引っ張りあげてくれたみたいです。
揺れる片方の瞳が、私を助けてくれた人を見つけました。
片方でしか見れないのが、もったいないくらい、
その人の瞳には心配と優しさが含まれていた。
そんな目で見られたのは初めてです。
私は気が動転して、お礼もいわずにそこから逃げ出してしまいました。
恥ずかしい気持ちがいっぱいで、胸のドキドキが止まりませんでした。
これが初恋の鼓動だと、その時の私はまだわかっていませんでした。
それから数日。いつもと変わらない日々を送ります。
両親もクラスメイトも変わらない。慢性的な日常。
けど、ひとつだけ変わったことがありました。
それは私を助けてくれた男の子が私と同じ高校に通ってる、一つ上の先輩だったこと。
もうお気づきですよね。それが先輩です。
ホントはお礼を言わなくちゃでしだけど、話しかけるなんて無理でした。
ですから陰からずっと先輩を見ていました。
先輩を見る事で私の日常に彩りが加わったんです。
私を助けてくれた人が素敵な人だった。そう思うだけで心が温まります。
先輩の周りにはいつも可愛い女の子がいましたよね。
それも一人じゃなくて複数人。
私なんかじゃあの輪には入れないって思いました。
でも、それでもいいんです。
私は見れるだけで満足なんです。
先輩が幸せであれば私は幸せです。そう割り切っていました。
自分の身の程はわかってるつもりですから。
かといって初めての恋心は理性とは裏腹に未練たらたらなので、
先輩の行動を観察することが日課になっていました。
僅かに残された理性が「まるでストーカーだよ!」って警報音を鳴らしてたけど、
恋に盲目な私には聞こえないです。しょうがないですね。えへへ。
以上、これが私の独り言です。先輩との出会いと、先輩を好きになった理由。
恥ずかしいですね、えへへ。
ちょっと長く喋り過ぎちゃいましたね。
もう少しだけ耳かきして、おしまいにしときますね。
(吐息・10秒)
ん、このくらいにしときましょう。
▼演技指示:小声で
先輩? せんぱ~い?
……ぐっすりですね。ふふ、可愛い。
でもこんな環境なのにぐっすり寝られるなんて、
日頃どれだけ寝れていなかったのでしょうか?
辛くて苦しい日々だったんですね。
ですが、そろそろ私の膝が限界を迎えているので、
ここは心を鬼にして起こすとしましょう。
▼演技指示:息を吸う
すぅ~。
▼演技指示:マイクに息を吹きかける
ふぅ~~~~~~~~。
■効果音:主人公 身じろぎ音
……起きましたか? おはようございます先輩。
すみません、このまま寝かしてあげたかったのですが、
膝が痺れて感覚がなくなりそうなので……。
ちょっと頭持ち上げますね。
■効果音:主人公の頭が持ち上げる音
よいしょっと。
このまま、枕に――。
■効果音:枕に頭を置く音
▼位置:左耳【中距離】
よしっと。
今日はこのまま寝ちゃいましょうか?
先輩には明日があるんです。
まずはゆっくり寝て、心を休ませて、明日また考えましょう。
先輩の幸せを。
まぁ途中で先輩をおこしてしまった私が言えた義理はないのですが、えへへ。
掛け布団、持ってきますね。
■効果音:足音 フェードアウト
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