転生者は狼族として、冒険者を心から楽しみます!

たまご

プロローグ

「鈴木くん!君は大出世間違いなしだよ!契約もとってくれたし!」


まだかな...


「私、鈴木さんみたいにすごい人になりたいです!」


あとちょっとかな...


「鈴木!お前がいてくれて助かったよ!これからもよろしくな!」


あと少し...!















「は〜い!“魔法少女ケモッチ 愛のステッキと魔法の花束”の整理券はこちらで〜す!!」


なんてったって今日は『魔法少女ケモッチ』の先行販売日なのだから!!


俺の名前は鈴木凪(すずき なぎ)。会社でいい成績を残し、そこそこいい毎日を送っているサラリーマンだ。俺は前まで、何も楽しめず生きてきた...


だが!この魔法少女ケモッチに出会ってから!俺の中の全てが生まれ変わったんだ!!あのモフモフの耳!ぴょこぴょこ動くあの尻尾!そしてなんといっても顔!!見てるだけで可愛さが伝わってくるぜ!!小さい頃狼を飼うことが夢だった俺は、そんなこと叶うはずもなく大人になった。そしてそれは今の夢でもある!!


けど、狼を飼うのは難しい。だから半ば諦めてた時期にこの魔法少女ケモッチに出会ったわけだ!!ああ、いつか本物の狼を飼いたい...


「ですから、整理券は一人一枚のみとなってまして...」

「だーかーら、知り合いの分も取っておくのを約束してんの!だから残りの整理券全部ちょうだい!」

「ですから〜...」


て、転売ヤーだと!?すげえ初めて見た!...じゃなくて、あのクソ野郎!俺の後ろにもかなり並んでるやつがいるんだぞ!?でもこれは先行販売だから正式に発売されるのはかなり後になる...てことは、必ずこの販売でゲットしなければ俺の今までの頑張りが無駄になるってことだ!!それはなんとしても阻止しなければならない!!


「あの、すみません!他の人の迷惑なんで、やめてもらえます?」

「んだてめぇ!さっきも言っただろ、俺の知り合いの分も買わねえといけねえから残りの分の整理券も必要なんだ!分かったらとっとと散れ!」


んだとぉ...!?口悪すぎだろ!


「わ、私も変だと思います!店員さんが仰ってた通り、一人一枚だけです!先行販売なので、いつか必ず販売されます!その時に知り合いさんに買って貰えばいいのです!」


よく言ったお嬢さん!GJ!


「そうだそうだ!」

「俺らの分も考えろー!」

「くそっ...覚えていろ!」

「あ、ありがとうございます!」


ふう、転売ヤーが撃退されるのはいつ見てもスッキリするもんだな。さて、無事に新作も買えたことだしすぐに家に帰って遊びまくるぞ〜!


「兄ちゃん!!あぶねぇ!!」

「...えっ?」



◇◇◇



う、うーん...ここ、どこだ...?確か俺ケモッチの新作買って...それで...


“目が覚めましたか?”


...どなた?


“私は光の神シャール...”


ふーん...え、神?あのかみ?


“はい、あの神です”


はぁぁぁぁぁ!?!?なんで!?てか思い出したぞ!俺トラックに撥ねられたんだった!!


“ええ...それはもうぐしゃりと...”


うげぇ、考えたくねぇ〜


“鈴木凪...実は貴方で【トラックで撥ねられ犠牲者 ぐっしゃりだぞ☆プロジェクト】の祝1000人目なのです...”


なんも喜べないよ!?てかなにその喜んじゃいけないプロジェクト!?なにが祝だよ!?怖えよ!!


“祝1000人目ということで、貴方に異世界転生の権限を与えます”


異世界転生...ああ!あの最近流行ってるジャンルか!


“ええ...私の知り合いが異世界を司っているのですが、つい先日このプロジェクトの1000人目に与える権限が異世界転生に決定したのです。神の気まぐれで死んでるのと同じですから、せめて楽しい場所に行かせたいという気持ちだそうです“


気まぐれ...あ、それじゃあ前までの人たちはどうなったんだ?


”全員記憶を残して生まれ変わらせました。めんどくさいので“


えぇ...めんどくさいって...俺1000人目でよかった...


”時間がないので手短に説明しますね。種族などはこちらで既に決めてあります。それと一応全属性の神の加護を与えておくので対応しといてくださいね。それでは、良い異世界ライフを〜“


は〜い...って、全属性の神っていったぁぁぁぁ!?!?まってまって!!


うっそぉぉぉぉぉぉ!?!?!?!?


”騒がしい人でしたね...さ、仕事仕事っと!“



◇◇◇



『まぁ!とんでもなく可愛いわ!』


あれ...耳の生えた女の人...?


『この子は将来狼族を背負う強い子になるはずだ!』


耳の生えた男の人...


「さて旦那、約束通りちゃんと働いてくれた狼族の報酬として、ネームを授けなきゃだな」

「そうだね。君の名前は...ナギだ。君はこれからナギと名乗るといい」

『ナギ...!いい名前でございます!ありがとうございます!“勇者様”!』

「いいんだ。この子が元気に育つように願っているよ」


勇者様...なるほど、俺は勇者様に名前をつけられたんだな。しかも前世の名前というね。


...なんで俺すぐ理解してんの??


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