第59話
王都王宮。現在は、エターニアと呼ばれる王都政治界の頂点の存在が住んでいる歴史的建造物。
その一室、客人をもてなす応接間にて、紋章(クレスト)を持つライアンと異形の存在オクタビアがアクセサリウスについて語っている。
「お前、ここにいていいのかよ。あのガキとペアなんだろ?」
「あら? アナタがそんな心配してくれるなんて、珍しいわね?」
オクタビアの冗談を受け、ライアンは餌を見つけた肉食獣のような凶暴な笑みを浮かべる。
「今日は気分がいい。新しい獲物がまた一人増えた」
「あの子のことね。そうね、気難しいけど契約者が現れた場合は、それこそアナタに匹敵する――」
「ちげーよ。アイツだ……シンだよ」
オクタビアは、不思議そうに眉をひそめる。
「シン君はもう契約したのでしょう?」
「アイツはまだ半分だけだ。戦いの経験がないからか、過去に何かあったのか知らねぇが、ぶつかることを極端に避けていた――だが」
ライアンの語気が強くなる。
「アレが腹を据えたなら、戦い道を選んだなら……とんでもねぇ化け物になんぞ」
「珍しい。アナタが、そんなことを。シン君はよっぽど才能があるのね……」
傍らに佇む四足の聖獣キマイラは、ライアンが何を思ってそう言葉にしたのか、心当たりがあった。
『彼に戦いの才能はない。違うんだ、オクタビア。ただ強いだけなら私たちがいる。知恵があるだけならお前たちがいる。あの青年が持つ才能が……私たちの思った通りの物ならば――』
「――アイツが、お前たちの求めている次の王だ」
「ッ!?」
二人の確信のこもった言葉に、オクタビアは目を見開いた。
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