第11話
時刻は深夜。
夜空という深淵に浮かぶ星々の輝きが強くなる時間。
アクセサリウスの喧騒が消え、人の気配がなくなってから暫くすると、一台のバイクが到着した。
「……まさか報告の通りとは」
赤いヘルメットを脱ぐと現れたのは、大人と子供の間のような成熟しつつある女性だ。腰まで伸びた金髪。癖のないストレート。センターパートの前髪は雰囲気の柔らかさを、形のいい細眉は凛とした彼女の気質を現している。端正な顔立ちと芸術品のような美しい肢体を併せ持つ、天に選ばれたような理想の女性像を体現しているようだ。
彼女の名前は、マリア・カルメン。ここの異常を検知し、生存者の救護のために来たその道のプロだ。
「……本当に宝石になっている」
彼女は与えられた役割を実行すべく、白色のジャケットを翻しながら宝石となった街を散策する。
彼女が所属している組織の制服である上下白のジャケット、長ズボンはまるで地獄に降りた天使のようだ。
そんな彼女は、赤く燃える輝きを発見。何事かとそちらに進むと、
「大丈夫か!?」
倒れ伏すシンを発見した。頭を抱え、膝に頭をのせる。浅いが呼吸は出来ている。外傷も見当たらない。
すると、僅かに意識を取り戻したシンは、弱弱しい力でマリアの腕に縋りつく。
「……オレが、悪いん――だ、か……らっ」
「分かったから! 今は喋るな!」
「……ソルが――」
シンは再び、意識を失った。
「……これは事情を聞かないといけないな」
マリアの膝で眠るシンは、のんきな寝顔を浮かべていた。
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