第35話 知らないアンドリダ

今日はアンドリダが市井のいつもの場所とやらでパーティの皆さんと会う日

市井の人の様な服を着て準備をする

先日のペンダントも着けた。

お守りよ


王宮や貴族街、周りのお店も越えて中級市民街まで行くらしい

全く知らない場所、噂では非常に賑やかだとは聞いたけれど下品でうるさいのだと…怖いわ


「ラプリエール準備できたか?そろそろ行くよ」

市井の人の様な服を着たアンドリダが迎えにきた

似合っているわ。素敵よ

「ペンダント着けてくれたんだ。イーリアーのものと石をお揃いにしたんだけどよく似合っているな」

イーリアー…石を…お揃い…?

イーリアーって誰かしらアンドリダ…

問いただしたい気持ちを抑えながら今は時間もないしとアンドリダの車に乗り込む

あれからも何回か乗ってデートに出かけてここはワタクシの席になった

ワタクシのクッションとワタクシのためのかわいい飾りがついている

イーリアーにはまけません!!でも…

「…アンドリダ、イーリアーってどなたですか?」

「サッキュバス」

サッキュバス!!!?サッキュバスには勝てる気がしませんわ!!ど、どういうお知り合いでっ…ど、どういう事ですのー?!


パニックになっている間に駐車したアンドリダにてをひかれて

「ごめん。ちょっとだけ走って。」

と言われ走る。市井の道は歩道も整備されていて走りやすく明るい。両端には建物が立ち並び色とりどりの看板がある

中級市民街…うるさくもないし明るくて綺麗

しばらくいくと噴水のある広場に出る

その近くに三人の人影が見えた


「よっし!間に合った!」

と走り込むアンドリダの合ったあたりに被せるように

「ってないぞ!アンドリダッ4分の遅刻だ!いい加減にしろっ」

と言っていかつい見た目の女性が振り返る

聖なる格闘家 拳聖の雷堂炎熱さんだ

さすが魔王にトドメをさしただけあって強そうな人だな

ワタクシを見て小さく おっ と言って意外そうにしているのは僧侶の円光寺覚悟さん

アンドリダに威嚇していたワタクシに

禿がいい?禿にする?と真顔で聞いてきた禿の人だ

魔法使いさんは黙って頭をさげた


「こんにちは、本日は皆様の集まりにお邪魔いたします」

と挨拶する横で

「おん?わーりーわーりー。5分以内だろノーカンにしろ」

とアンドリダが軽い言い方をしている

アンドリダ、ワタクシとじゃない時はこういう雰囲気なのね


「納棺?いーけど?」

格闘家が関節を鳴らす

「きゃーやめてやめて姫もいるからっ炎熱ちゃん」

と止める魔法使いをすり抜けてやってきた格闘家さんを避けるようにアンドリダが離れていく

周りに人がいないのを見てから格闘家が

「暗黒脚!!」

といい黒いなにかを纏わせた蹴りを放つ

え!?嘘っっ、あ、アンドリダー!!

「ひ、光のかべーぇえ」

「ちぃっ」

なんてなんだか子供みたいで楽しそうだわ

「うふふ。楽しそう、だからいつもパーティと会った日は嬉しそうにしていたのね」

そう言って目を細めていると禿の人が近づいてきた


「何か。ありましたか?」

落ち着いた声で尋ねられる

「え…?」

「アンドリダにも言っていた事なのですが…世の中の人が全員、一度自分に冷たく接した人を許せるわけではありません」

「あ………」

そういえばワタクシは勇者への報酬なのだと

勇者のパーティにも冷たい態度をとっていた

「氷冷の様な態度と言葉。今後は無きようお願いします」

胸に冷たいものが、落ちる

「ごめん…なさい…」

ションボリとした気持ちになっているとアンドリダがやってきた

「いじめてんじゃねぇぞ、禿」

「必要な話だ」

「ねー。プリモ治癒って〜。ゴリラキックあたったぁヒットポイント1ー死ぬー死ぬー」

「馬鹿につける薬でもつけときなさい!マジックポイントの無駄!」

「何キックって?もっかい当ててやろーか?」

パーティの女性とも気安い仲なのね

「仲良しですのね…」

思わずつぶやく




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る