第32話 安らぐ場所
王宮に来るといつもイライラする
ゴテゴテとした装飾も私は上級ですって顔した弱そうなやつらも一掃してやりたくなる
黒くて汚い物の上に綺麗な布を敷き詰めたって
美しい場所にはならないんだ
はぁ…ほんと演技力だけは上がったよなぁ
王に勇者として最近の働きや今までの討伐を暗に俺様がお前を育てて任命したからだなと匂わせつつ褒められながら恭しく美しい礼をとる自分に吐き気を覚える
あー早く帰りたい。
早く、早く
「ただいま…はぁ疲れた」
近づいてきた爺に上着を渡して首元をくつろげる
今日は長かった。隣国の大使が来ていたから
我が国の勇者アピールと我が国が魔王を退治したアピールが続いて危うくうるせぇえってなりそうだった
何も知らない奴の間違えた自慢ほど腹立つもんはないな…あー癒やしが欲しい
部屋に入るとラプリエールがいた
あ、そうかこっちで一緒に寝るって言っていたっけ
今日は呑んでないけど遅くなったな…
また怒るかな…はぁ…
「おかえりなさい。アンドリダ。」
にっこりと微笑まれる
ヤバイ相当怒ってんのか??
「王宮みたいな場所で長時間、お疲れでしょう?」
そう言ってなんかいい匂いのお茶を渡される
少し甘くてでもさっぱりしていて美味しい
「ありがとう。なにこれうまい」
そう言うと茶葉の説明をしてくれるがさっぱりわからない…ごめん。またください
「じゃあ風呂に入ってくるから、先に寝ていていいよ。遅くなったし待たせてごめんね」
そう言って部屋を出る
風呂は洗われるのは嫌いだから1人で入ってる
元貴族んちだから風呂もでかすぎてバスルームに小さい湯船置いてる これでいーんだよ。ほんと
んぁー風呂最高〜
ガシガシ頭を拭きながら歩くと後ろから現れた係に髪を乾かされる
そのまま廊下を通って自室に着いた
ソーッと中を覗く
…あ、ラプリエールめ、待とうとしたまま寝落ちしてる
寝ていていいって言ってんのになんか頑固だよなぁ
ソッと横にして布団を掛けてやる
この2日くらいだけでも高慢なわけでも贅沢なわけでもなくて…俺が思ってたほど依存的でも無かったのがわかった
条件が無かったら自分だけのつもりだったけど
ラプリエールと一緒にカタンの力を貰う
悪くないな…
寝ているのをいい事に髪をすいてみる
頭を撫でてぬいぐるみみたいに抱いて横になってソッとラプリエールの腕を自分の上に置く
あ。いいなこれ。やっぱり俺も親を求めてんのかなぁ…安らぐ
そうだとしたらやっぱりこの縁は…欠けてる場所を埋めあえるのなら凄くいいのかもしれないな
須原め…
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