第31話 可愛らしい

「そろそろ起きる時間ですよ」

ラプリエールを揺り起こす

うーんと不満気に唸ったラプリエールは外側へ寝返ろうとする


「落ちるよ」

グッと手で戻すと俺の方を向いてしまった

しまった!戻さないとと思うと同時にラプリエールが目を覚ます


あら?どこかしら…ここ…とか言いながら太腿をさする

くすぐったいっ  笑いそうになるのを堪えて

「おはよう。ラプリエール」

となんとかイケボを出すと、えぇっ!?と驚きながら飛び上がって落ちそうになる

教育の仮面がはがれたらやっぱり他の女と変わりないな。可愛らしいもんだ

「膝枕のお返しです」あ、駄目だ笑っちゃった

あー顔がみるみる赤くなってく

「あぁあ、アンドリダがお風呂にも入らずにこんな所で寝ていたからですっっ」


今までなら叩き起こされて悪口言われまくってたんだけどな…

「わ、ワタクシ…昨日はわがままも沢山言いましたし…アンドリダ疲れたのでしょうと…その前にお仕事もしてらしたし…」

「疲れたけど楽しかったよ。それに、目覚めるまで一回も悪夢を見なかった」

本当に全く見なかった。初めてぐっすりと眠った気がする

「シャワーして王宮行ってくる」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

孤児で勝手に連れてこられて

勇ましき者でなかったらどんなに頑張っていたとしても使えない道具を捨てるみたいに20歳で処刑

私と同じ…もっと酷い

「アンドリダ!!!!」

つい呼び止める

ぶっきらぼうに ん? と返されたけど

「眠れなかったらいつでも私が一緒にっ」

と被せると

困ったみたいな顔して吹き出してから


「それはまた…わかった。是非行くよ

逆に眠れなくなったら悪いね」

って笑ってお風呂へ去っていく


???

………


!?これじゃあ夜のお誘いだわ!!


「アンドリダ!!そういう事じゃないのよ!!」

ガラリと扉を開けて叫ぶと

ぎゃー!!!シャワー中だった!!全裸ぁあ

「ごごごめんなさいぃい」

と言いつつ目が離せないワタクシに

「あー…うん…閉めて」

という言葉が聞こえる、何を言われたのかパニックでわからなくなっていると

「あ、それか一緒に入る!?」

と笑われて慌てて扉を閉めた

中から、盛大な笑い声が聞こえる

むぅううう…失敗したわ

「先にご飯をたべますからね!」

そう言って踵を返してもまだ笑い声がする

アンドリダめぇえ



「あ、本当に先に食べてる」

お風呂から上がって服装も髪型もきっちり整えたアンドリダがやってくる

細く見えるこの身体は実はガチガチに筋肉がついて

傷が沢山あった

アンドリダは本当に沢山努力しているのね

それに…

「アンドリダ。  髪が全部下りている時の感じ…好きです」

幼い様な優しい様な雰囲気になってる

「あー…じゃあ…おろす?」

「いえ。たまに自宅でワタクシにだけみせてください」

「なにそれwわかった」

ガタッと前に座ってご飯を食べ始める

今日は紅茶とナッツパン…だけ?

あ、寝ていたから…?

ジッと見ていたら目があった

「…良かったら、今日から一緒に寝る?」

パンを口に放り込みながら聞いてくる。

「あ、変な意味じゃなくて」

ふふ。アンドリダだって同じ間違いやってるじゃない

「うん。そっちにお邪魔するわ」

アンドリダって意外と可愛らしいのね

王宮に行ったらきっとまたストレスを貯めて帰ってくるだろうし、帰ってきたら何かねぎらってあげなきゃね







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る